一般的に転職市場では、ある一定の年齢を超えると難しいために、転職を意識したら早めに動こうという意見があります。転職先の上司や部下の年齢との兼ね合いや、出産による一時離職のタイミングを意識することなどによるものと思われます。女性会計士においてもそれは当てはまるのでしょうか。

筆者は「専門性や実務経験をもとに自分には何ができるかを明確に示せる場合に年齢は関係ない」という見解を持っています。自身の得意分野を売りにして事業会社へ転職していく女性会計士の実例は多く、また、企業側が転職希望の会計士に求める人材像として年齢を気にしている事例に出合わないためです。

実例をご紹介しましょう。監査法人で管理職まで務めたことでチームマネジメントや対外交渉力などを評価され、事業会社で経理部長等の重要ポジションを任されている会計士がいます。ほかにも、監査法人でIPO支援に多く関与していた経験を評価され、ベンチャー企業で上場準備室長やCFOのポジションで迎えられる会計士もいます。

資格の持つ専門性に実務経験が加われば、企業にとっては即戦力であり、さらに女性ならではの細やかさや周りとの調整力もあれば、企業の価値を高める人材となれる可能性が高いでしょう。監査+IPO、又はコンサル+マネジメント、など、むしろ年齢を重ねるとともに重ねてきたハイブリッドな実務経験や、その中で培われた冷静な判断力は、転職にあたっての強みとなるのです。

自信を持つことをためらう女性は相対的に多いと思います。転職をしてみたいと考えたときには、一度ご自身のこれまでの経験を棚卸ししてみてはいかがでしょうか。少しでも得意なこと、好きな実務、多く関与した業種など、実務をした年数が増えるほど自身の中に経験という資産が蓄積されているはずですので、それを自信に変え、次のキャリアへチャレンジしてみてほしいと思います。

年齢を重ねても専門家として研鑽する姿勢と、過去の考えや習慣にとらわれずに新しいものを受け入れていく柔軟性を持ち合わせていれば、年齢に関係なく望む道を切り拓いていける素敵な女性会計士になれると思います。