会計士事務所・税理士事務所として独立開業後、紙媒体のダイレクトメールとwebを組み合わせた集客効果の高いマーケティングで顧客獲得に成功するケースが増えてきました。ここでは、ダイレクトメールを活用するにあたり、ターゲットリストの入手方法や反響率を上げるために意識すべき送付のタイミングなどについて説明します。

狙いたい層は新設法人?

紙媒体のダイレクトメール(以下、「DM」)で顧客獲得を狙う場合、DMの内容だけでなく、「どこにどれだけ送るか」も成果を上げるために重要な点です。会計士事務所の場合、同じ地域の先輩会計士・税理士と既に契約している事業者ではなく新設法人を狙い、顧客の成長を支えながら事務所のサービスメニューも増やしていく戦略をお勧めします。

では、ターゲットとなる新設法人に係る情報はどのように入手したら良いでしょうか?主な方法は、①名簿販売業社から購入する、②無償で新設法人データを毎営業日公開するwebサイトを利用する、③国税庁法人番号公表サイトを利用する、の3種類です。時間に余裕があればコストのかからない②の方法をお勧めしますが、ターゲットを業種等で絞り込むこともできる①を活用しても良いでしょう。

一方、新設法人に対しDMを送る事業者は多いです。会計士事務所のほか、オフィス用品の販売業社、プリンター等OA機器の販売業社、会計ソフトの販売会社、カード会社なども行います。設立して最初の1〜2週間で10通ほどのDMが届くとの話をよく聞きます。そのため、社長や経理担当者にDMを読んでもらうには、①1週ごとに3回程度連続で送付する(毎回内容を変えるとより良い)、②大判ハガキにし開封の手間を省く、③図表や写真を使い情報量を維持したまま文字数を減らす、④新設法人の課題解決や特定の業界に強いことを強調する、等で他のDMとの差別化を図ることが重要です。

提供するサービスはどの設立時期に適しているか

DMの発送先として新設法人をターゲットとした場合、設立からの経過期間により訴求すべきメッセージが異なる点に注意しましょう。設立後3ヶ月程度までは、業種を問わず資金繰りに不安を感じる事業者が多く、創業融資のニーズが高いです。また、中小企業庁の「創業支援等事業者補助金」や東京都の「創業助成事業」等の募集時期(4月が多い)には、これらのテーマが経営者の目に留まりやすいでしょう。その他、法人の決算、個人の確定申告、年末調整、法定調書や償却資産税の申告など、タイミングを見てメッセージを発信することで問い合わせ率を引き上げることができます。

今回は、ダイレクトメールを活用し新規開拓を行う際のリストの入手方法や送付時のポイント等を紹介しました。独立会計士の皆さまの顧客獲得にお役に立ちましたら、とても嬉しいです。