会計士の仕事はときには体力勝負ですので、「男性と同じようには働けない…」と悩むこともあると思います。 ここで皆さまが考える「同じように」というのは、「同じ量(=時間)」は働けない、という意味でしょうか。

 何の制限もなく同じ立場で同じ仕事を任されているときは、男性と女性の差はなく、ともに責任をもって成し遂げるべきですが、 会計士人生を長い目でとらえたときには、女性は必ずしも男性と同じだけの時間は働けないと思います。 人間の構造の面からも、ライフイベントの面からも、ある程度やむを得ないと割り切ってもよいのではないでしょうか。

 そもそも、女性は一般的に男性より筋肉が少ないため、体力の限界を感じやすい傾向があります。 また、妊娠・出産できるのは女性だけです。結婚して、家事や育児は夫婦で分担できたとしても、妊娠・出産は分担できません。 妊娠中は出産に向けて体調を整えることが大事ですし、出産後も、すぐには体力が戻りません。 ある程度の時期までは、お子さんと過ごす時間が多くなるでしょう。

 このような事情から、男性と同じだけの量は働けないとしても仕方ありません。
だからといって女性が活躍できないわけではなく、限られた時間の中で質の高い仕事の進め方をすることで、結果として男性と同じパフォーマンスを発揮することはできます。

 女性の中には、複数のプロジェクトを同時並行で管理するマルチタスクを得意とする方や、 ダラダラしている余裕など1秒もないからこそ密度の濃い仕事の進め方をしている方が比較的多いように思います。 時間あたりの生産性を高めるには様々な工夫が必要ですので、その工夫を組織全体に広げていく役割も担えるのではないでしょうか。

 男性と同じように活躍したくても同じだけの時間は働けない、と考えてしまい、働くことそのものから遠ざかってしまう方がもったいないと考えます。 性差を割り切って、男性と同じ働き方はできなくとも質でカバーすることで、男性とともに専門家としての価値を世の中に提供していくことができます。
自信をもって、公認会計士として自分らしい働き方を見つけていきましょう。