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会計士コラム

航空機・船舶を使った決算対策⑤

これまでのコラムでは、JOL(=Japanese Operating Lease)の仕組みについて、一般的なオペレーティング・リースの特長、JLL(=Japanese Leveraged Lease)との比較、JLLからJOLへトレンドを変える契機となった「名古屋事件」、スキーム図、購入選択権の意味、航空機の中古マーケット(将来価値)、損益表ならびに経理処理の例を使い説明しました。これからは、これら基礎知識を踏まえて、JOLのメリットとデメリットについて、比較的詳しく説明します。

これらコラムを読むことで、会計士の皆さまがクライアント企業より決算対策の相談を受けた時に、JOLを勧めるべきか否か、勧めるならどのリース会社等のどのような商品を勧めるべきかといった点を、容易に判断できるものと思います。

JOLのメリット

①初年度に損金算入できる割合が高い

投資採算予想表を使ったコラムの例では、損金算入率、つまり出資した金額に対し初年度に算入できる損金の割合は、6割強でした。これは、特に初年度において匿名組合が計上する減価償却費と借入金利息の額がリース料の額を大きく上回るために実現します。初年度の損金算入率は、投資家の決算月と匿名組合の決算月のタイミングや、リース物件の種類により変わりますが、8割程度を計上できる商品も存在します。

この数字は、通常の国内不動産や動産等の償却資産を使った決算対策と比べ2〜4倍の効果があると言えます。また、決算対策に使われる生命保険と比べても、支払った保険料の全額を損金算入できる商品が限られているため、決算対策手段としてJOLの効果が相対的に高いことが分かります。

なお、現在、平成17年度税制改正前のJLLのように投資額を超える損金の算入が可能な合法的な商品は、存在しません。投資や節税の世界では、毎年のように悲しい事件が起きております。一度も聞いたことのない名前の金融会社の話に疑いもなく乗る会計士さんは少ないと思いますが、大手金融会社の名前を無断で使った「〇〇ファイナンス」「△△キャピタル」「□□リース」といった社名の会社が複数存在し、実際に多くの企業が被害に遭っております。そのような会社の非合法な営業活動からクライアントを守るためにも、逆に合法的な商品を中立的な立場で評価するためにも、覚えていただきたい点の一つです。

②キャッシュアウトが1回だけ

JOLは、支払いが最初の1回のみです。この点が、保険料を毎年(ないし毎月)支払う必要のある生命保険を使った決算対策との決定的な違いです。

ここ数年、有望企業は上場しなくとも容易に資金を調達できるほど、世界的な低金利を背景としたカネ余り状態が続いておりますが、それでも、健全なキャッシュフローの確保は、世界中の多くの経営者にとって最大の関心事の一つです。決算対策のために将来のキャッシュフローを圧迫しては本末転倒のため、保険を使う場合はその年度に計上したい損金の額にギリギリに合わせるのではなく、将来を見据えある程度の余裕を持たせた保険料の額となるよう設計し加入するのが一般的です。また、会計士の皆さまがクライアントから相談を受けた際は、そのようにアドバイスするのが、クライアントファーストと言えます。これに対し、JOLは次年度以降のキャッシュフローを心配する必要がないため、余裕を持たせる必要もなく、特に突発的に出た利益への対策として、より高い効果を発揮します。

なお、税務会計上は2年目以降も損金(費用)計上が続く点は注意が必要ですが、前回のコラムで使用した投資採算予想表にある通り、2年目以降の損金(費用)計上額は初年度から大きく下がり、JOLを購入できるレベルの会社であれば3年目ないし4年目以降の計上額は経営に大きなインパクトを与えないレベルの額となります。

③航空機の将来価値

JOLの代表的なリース物件は、航空機と船舶ですが、その他にも海上コンテナやプラント設備などが対象となります。オペレーティング・リースの最大の特徴は、貸し手(JOLの場合、投資家)がリース物件の将来価値に係るリスクを負う点です。そのため、中古価値が安定しているうえ高く売れる可能性の高いものを選ぶべきで、第8回のコラムで説明した通り、特に航空機がJOLに向いていると言えます。

また、購入選択権の付いた案件であれば、エアライン等の借り手がそのリース物件を自ら購入する可能性が高く、将来の売却リスクがより低く抑えられた案件と言えます。

この点に関して、クライアントから相談を受けた際は、リース会社等の実績を確認するのが良いでしょう。いくら良い製品を作ってもマーケティングや営業マンの能力が低ければ製品は売れないように、いくら中古価値の高い航空機があっても、リース会社等の営業力がなければ、数十億円もする航空機を満足いく条件で売ることはできません。営業に来られたリース会社等の担当者へ、過去の売却実績を尋ねることをお勧めします。