会計士コラム
公認会計士による新規上場企業の財務分析【フィル・カンパニー】
公認会計士の視点から、今注目の新規上場企業を紹介し、財務分析を行います。
今回は駐車場の上部”未利用”空間の活用を実現したフィル・パーク事業を営むフィル・カンパニーについて企業分析を行います。
会社名 | (株)フィル・カンパニー |
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証券コード | 3267 |
市場 | 東証マザーズ(上場予定日:2016年11月18日) |
業種 | 建設業 |
事業内容 | 1階を駐車場、2階以上を店舗とする「空中店舗フィル・パーク」の企画、設計、建築 |
設立 | 2005年6月3日 |
従業員数 | 13名(2016年9月30日現在) |
代表取締役 | 能美 裕一 |
事業戦略 |
これまで未利用だった駐車場上空部分に、文字通り空中店舗を建設し、商業施設や賃貸物件として活用する事業を展開しています。 |
平成23年11月期から平成27年11月期(以下、当期)までの財務情報を用いて、公認会計士の視点から財務分析を行いました。
会計士の5期間財務分析
売上推移
- 売上高は毎期増加しており、連結ベースでの5期間の年平均成長率は55%と高い水準で推移しています。
- 平成28年8月時点では全国主要都市を中心に建設中のプロジェクトも含めて90箇所の実績を重ねているものの、全国のコインパーキング60,000箇所に対しては0.2%に留まっており、今後も引き続き需要が存在すると推察しています。
会社の利益構造
- 新規竣工プロジェクトが前期7件から当期19件へ増加した結果、売上が大きく増加したことから当期の当期純利益は140,142千円の黒字となっています。
- 現状は成長過程であり事業規模が小さく、案件1件当たりの売上高がグループ全体の売上高に占める割合が高い状況にあります。また、従業員数は当期連結ベースで13人となっており、売上原価に占める外注費割合は高いことから、経常利益はプロジェクトの竣工数による影響が大きくなっています。
会社の資本構成
- 当期末における自己資本比率は21.64%、流動比率は124%となっています。
- 竣工プロジェクト数の増加により、営業活動によるキャッシュ・フローが前期の227,974千円から当期の437,864千円へ大幅に増加しています。また、長期借入金の増加に伴い、借入金合計が当期61,069千円と前期21,311千円から増加しています。その結果、現金及び預金、売掛金から算定され当期の当座比率は100%となっています。
PER(予想株価収益率)
- 平成27年11月期の1株あたりの純利益は65円52銭となっており、想定発行価格は1,210円となっています。また、想定発行価格から算定した当期のPERは18.6倍となります。
企業価値に影響を与える外部的要因
- 建設業法等、各種法令の新たな施行や変更等により、義務及び費用負担等が発生する可能性があります。
- 平成28年10月時点において競合となるサービスは存在していないものの、ハウスメーカーや駐車場運営会社等が今後類似したサービスを展開する可能性があり、競争優位性に起因して経営成績や財政状態へ影響を与える可能性があります。