会計士コラム
公認会計士による新規上場企業の財務分析【株式会社ティーケーピー】
公認会計士の視点から、今注目の新規上場企業を紹介し、財務分析を行います。
今回は、貸会議室事業を中心にホテル宴会場やホテルリゾート事業等の派生事業を営む株式会社ティーケーピーについて企業分析を行いました。
平成24年2月期から平成28年2月期(以下、当期)までの財務情報を用いて、公認会計士の視点から財務分析を行いました。
会計士の5期間財務分析
今回は、貸会議室事業を中心にホテル宴会場やホテルリゾート事業等の派生事業を営む株式会社ティーケーピーについて企業分析を行いました。
会社名 | 株式会社ティーケーピー |
証券コード | 3479 |
市場 | 東証マザーズ(上場:2017年3月27日) |
業種 | 不動産業 |
事業内容 | 貸会議室の運営を中心として、付随する料飲・オプション・宿泊サービス等を展開 |
設立 | 2005年8月15日 |
従業員数 | 連結813名(2017年1月31日時点) |
代表取締役社長 | 河野 貴輝 |
事業戦略 | 0から1を創りだす「空間再生流通企業」を企業理念に掲げ、不活性不動産の有効活用を通じて社会貢献する貸会議室事業や人材活性化に寄与する研修サポート事業を展開しています。 |
会計士の5期間財務分析
売上推移
- 直近3年間で運営する貸会義室は1,288室から1,536室へと年100室を超えるペースで増加しており、創業時より行う貸会議室事業の売上は右肩上がりで成長しています。
- 貸会議室の大口顧客の傾向として、顧客企業における採用活動や新入社員研修を中心とした利用が比較的多く占める傾向にあることから、貸会議室事業会社の売上は今後の企業による採用活動の動向に影響されることになります。また、上記の理由から、季節変動要因として、売上が3-6月に比較的集中する傾向にあります。
会社の利益構造
- 昨今の企業業績の改善により、高品質な会場の利用もあり、より高付加価値のサービスとなる、ガーデンシティPREMIUMを新しくラインナップに加えています。
- 料飲サービス等の材料費がかかる事業と比べて、貸会議室事業における売上原価は地代家賃がほとんどであるため、相対的に貸会議室事業の営業利益は高くなる傾向にあります。
- 当期の経常利益率は11.6%となっており、前期の同率6.6%から大きく改善しています。
会社の資本構成
- 当期の自己資本利益率は25.7%であり、自己資本比率17.3%、固定比率は130.1%となっており、事業の特性上、自己資本に対する固定資産の割合が一般的な水準以上に高くなっています。
PER(予想株価収益率)
- 平成28年2月期の1株あたりの純利益は144円03銭です。また、想定発行価格5,890円に対する、当期のPERは40.9倍となっています。
- また、初値は10,560円で公開価格6,060円を74.3%上回っています。
企業価値に影響を与える外部的要因
- 貸会議室のみならず、料飲・宿泊サービス等も手掛けており、消防法や旅館業法、食品衛生法等の多種の法規制を受けています。新たな規制や規制の改正があった場合には、事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。