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会計士コラム

生命保険を使った決算対策⑥

具体的な生命保険商品(その2)

②逓増定期保険
・商品の特徴:
 保険金額が、加入後の経過年数に応じて逓増し、最大で加入当初の5倍の金額となる定期保険です。ただし、当商品は、日本では直近10年以上に渡って決算対策として使われている最も一般的な保険商品で、実際には、保険金額が増える前に解約してしまいます。

・保険料の損金算入割合:
支払い保険料の50%で、残りの50%は資産計上となります(※1)。

・保険料の高さ:
 保険料は、保険金額が将来において逓増することを織り込み、かつ保険料が契約期間に渡り一定額となるよう算出されるため、非常に高くなる傾向があり、高額の損金ニーズがある場合や、経営者1名のみが被保険者となるようなケースに向いている商品です。

・解約返戻金の税務上の扱い:
資産計上分を引いた額、つまり保険料累計額の半分が益金となります。

・返戻率:
 保険金が逓増する前の期間において支払う保険料の一部が前払い保険料として機能する商品の仕組み上、ピーク時の返戻率は90%以上と高くなります。この返戻率の高さが、根強い人気の最大の理由と言えます。また、加入後5〜10年経過時の比較的早いタイミングでピークが到来します。一方、ピークを過ぎるとすぐに返戻率が下がってしまいます。そのため、5〜10年後に退職金や高額な設備投資等を具体的に計画している法人等に適した商品です。なお、経営者の引退時期が決まっている場合に、事業承継時の後継者の経済的負担を軽くする目的で利用されることもあります。

(※1)国税庁通達「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」(平成20年2月28日課法2-3,課審5-18により改正)により、それまで保険料の全額が損金算入されていた逓増定期保険のほとんどが、1/2損金算入の商品となりました。同通達は、被保険者の保険期間満了時の年齢が45歳以下であれば引き続き全額損金算入を認める内容となっており、例えば現在30歳の経営者が保険期間15年で加入すれば、保険料は全額損金算入となります。ただし、日本では、これほど経営者が若く、かつ高額な節税ニーズを持つ法人等の数が非常に少ない事情から、一般的に、逓増定期保険は1/2損金の商品と言われております。

なお、同通達が公表される前日までに契約が成立したものの多くは、同通達後も引き続き全額損金算入が認められました。あの通達は、平成20年2月末の公表の前から、保険会社やプロ代理店の一部で噂が広がっており、その状況を顧客企業へ説明し決算から1ヶ月前倒しでの契約加入を勧めるべきか、営業担当の間で意見が別れました。そして、通達前に加入した多くの中堅・中小企業のオーナーが、商品内容と未公開情報を、リスクを含めて丁寧に説明した営業担当に感謝しました。懐かしい出来事です。