公認会計士による新規上場企業の財務分析【株式会社バロックジャパンリミテッド】

公認会計士の視点から、今注目の新規上場企業を紹介し、財務分析を行います。

MOUSSY(マウジー)やSLY(スライ)等のファッションブランドを展開する株式会社バロックジャパンリミテッドについて企業分析を行います。

会社名 株式会社バロックジャパンリミテッド
証券コード 3548
市場 東証第一部(上場予定日:201611月1日)
業種 小売業
事業内容 主に女性向けの衣料品及び服飾雑貨の企画及び販売を行う製造小売業(SPA
設立 2003年8月11
従業員数 1,511人(平成28年8月31日現在)
代表取締役 村井 博之
事業戦略

「バロック発のファッションブランドを日本発の代表的なファッションブランドとして世界へ飛躍させる」という目標に向け、以下の5つを重要戦略としています。

  • 既存ブランド価値の一層の向上への挑戦
  • 新しい業態への挑戦
  • 世界への挑戦
  • 商品競争力を維持するための最適生産への挑戦
  • 人材育成への挑戦
同社では、20代女性を主要な顧客層として渋谷109や新宿ルミネエスト等を代表とする都市部のファッションビル、駅ビルに展開する直営店舗を主要販路とする「ファッションビル・駅ビル系アパレル事業」を主力事業とし、10代後半から30代のファミリー、カップルを主要な顧客層とするイオンモールやららぽーと等を代表とする都市近郊・郊外のショッピングセンターに展開する直営店舗やフランチャイズ店舗を主要販路とする「ショッピングセンター系アパレル事業」を第2の成長ドライバーと位置付けています。また、この他に「百貨店系アパレル事業」や「靴事業」を展開しています。

 

平成24年1月期から平成28年1月期(以下、当期)までの財務情報等を用いて、企業分析を行いました。

会計士の5期間財務分析

売上推移

  • 当期の売上高は687億円で、売上高成長率は10.0%と高水準でした。単体ベースでの5期間の売上高は、平成241月期は524億円、平成25年1月期以降は600億円弱で推移し当期600億円を超えました。なお、当期の売上高連単倍率は1.1倍で、連結グループ内における親会社の比重が大きめです。
  • 国内売上は前期比で42億円(7%)程増加しており、商品施策の見直しや顧客への情報提供強化により既存店売上が前年を上回ったこと等が増加要因であるとされています。
  • 海外売上は前期比で20億円(53%)程増加しており、中国における積極的な小売事業展開を行う合弁会社に対する連結子会社の卸売上高の増加によるものであるとされます。

会社の利益構造

  • 平成27年1月期は営業・経常・最終の各段階損益が赤字となりましたが、当期は営業利益59億円、経常利益61億円、当期純利益42億円と黒字転換しました。単体ベースでの5期間の損益は、平成24年1月期は黒字でしたが、平成25年1月期から平成27年1月期までは当期純損失となり、当期に黒字転換しています。
  • 平成27年1月期までは販売費及び一般管理費に計上されるのれん償却額31億円が大きな負担となっていましたが、この償却が平成27年1月期で終了したことや、売上高の増加等が当期の黒字転換につながったと考えられます。このため、当期の黒字は一過性のものではなく、今後も継続する期待がもてます。
  • 平成29年1月期第2四半期の累計売上高は322億円で前年同期を若干上回っています。

会社の資本構成

  • 当期末における自己資本比率は19.5%となっています。
  • 当期末の利益剰余金残高は▲27億円で、無配でした。今後については未定とされています。
  • 当期末の借入金残高は101億円で、総資産額に対する比率である借入金依存度は35.8%となっています。また、財務制限条項が付されたローン契約があり、連結営業利益の黒字維持等の遵守事項に抵触し期限の利益を喪失した場合には、財政状態や資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
  • ストックオプション制度を採用しており、新株予約権が行使された場合、1株当たりの株式価値が希薄化し市場価格に影響を及ぼす可能性があります。

PER(予想株価収益率)

  • 予想PERを当期の1株当たり当期純利益13485銭、想定価格2,240円に基づいて算定した場合、16.6倍となります。

企業価値に影響を与える外部的要因

  • 流行の変化や景気の変動、気象状況等の影響を受ける可能性があります。
  • 主要顧客層を10代から30代前半とするブランドについては、少子高齢化の影響を受ける可能性があります。
  • 取り扱う商品の多くをグループ外部の海外メーカーに生産委託しており、生産国は中国を中心とした東南アジア諸国が全体の9割以上を占めているため、当該地域のカントリーリスクや為替変動等が業績に影響を及ぼす可能性があります。