公認会計士による新規上場企業の財務分析【株式会社ジェイ・エス・ビー】

公認会計士の視点から、今注目の新規上場企業を紹介し、財務分析を行います。

「学生に安全で良好な就学環境を提供することが私どもの使命」という信念のもと、学生マンション事業の拡充・発展を進めてきた株式会社ジェイ・エス・ビーについて企業分析を行いました。
会社名 株式会社ジェイ・エス・ビー
証券コード 3480
市場 東証2部(上場日:2017年7月20日)
業種 不動産業
事業内容 学生向け物件を中心とした不動産賃貸管理業、および高齢者住宅事業
設立 1990年7月27日(創業は1976年12月)
従業員数 707名(平成28年10月31日現在) ※連結ベース
代表取締役社長 田中 剛
事業戦略 40年におよぶ学生向け不動産賃貸業の実績を背景とした学生マンションの企画提案と竣工後の家賃保証付きサブリースをメインに、そこから派生する建物メンテナンス、入居者サポート、学生寮の企画・運営などを受託
平成24年10月期から平成28年10月期(以下、当期)までの財務情報を用いて、公認会計士の視点から財務分析を行いました。

会計士の5期間財務分析

売上推移

  • 過去5年間の売上高は一貫して増加を続け、CAGR (年平均成長率)は4.82%です。
  • 当期の売上をセグメント別で見ると、平成28年度の大学・短期大学進学率の上昇に伴う学生数の増加により、全社売上の94%を占める学生マンションの不動産賃貸管理業が前年同期比+4.6%と伸長しました。
  • また、同5%を占める高齢者住宅事業は、経営資源の集中と選択を目的に一部施設を売却した結果、同+53.6%となりました。
  • 一方、不動産販売事業においては、当期は所有物件の売却は行わず、仲介業務に注力した結果、同▲35.0%となりました。
 

会社の利益構造

  • 同社の当期営業利益は、メインの不動産賃貸管理業において、入居率の上昇等から前年同期比+16.0%となりました。また、高齢者住宅事業においては、引き続き損失を計上しているものの、損失額を大きく改善しました。その結果、当期の営業利益は、前年同期比+45.1%となりました。
  • メインの不動産賃貸管理業においては、サブリースに伴う不動産オーナー向け賃料が売上原価の大半を構成し、粗利率は14.0%となっています。
  • 一方、効率的な人員配置と効果的な広告宣伝活動の推進により、人件費が高騰する中にあって販管費の上昇を抑えることができました
   

会社の資本構成

  • 当期の自己資本利益率は19.9% であり、自己資本比率27.4%となっています。
 

PER(予想株価収益率)

  • 平成28年10月期の1株あたりの純利益は295円です。東証2部上場の中型案件として想定発行価格3,100円(PER10.5倍)となっていたところ、4,280円(PER14.5倍)の初値をつけ、本日7月31日終値は4,325円(PER14.7倍)と、大手不動産会社の株価が伸び悩む中、相応のパフォーマンスを維持しています。
 

企業価値に影響を与える外部的要因

  • 学生向けマンション賃貸業に特化していることから、大学キャンパスの統廃合や移転、少子化に伴う学生数の減少、空き物件の増加に伴う賃料の低下、職人不足による建設費の高騰、および消費増税が、同社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。