スマートフォンが当たり前の存在となり、ブログ、Twitter、Facebook、InstagramなどのSNSを日常生活の一部として利用されているかたが多くなってきました。
SNSには情報発信と情報収集の側面があります。本コラムでは、会計士の情報発信手段としてのSNSについて考えてみたいと思います。SNSを通じて一個人が言いたいことを発信できるということは、使い方や戦略によっては自己のブランド力を高めるツールになりうるのです。
独立会計士は看板も知名度もなければ「その他大勢の会計士」といえるでしょう。そこから「少し有名でスキルが高そうな会計士」として認定されるよう、SNSを自己のブランディングに活用する場合のポイントを挙げます。

●ネガティブコメントを発しない


愚痴や乱暴な言葉で書かれているブログやTwitterを見たとき、こちらまで気分が沈んでしまったことはありませんか? 発信した本人は発散のつもりで又は何も考えずに書いたことでも、発信の空気感ひとつで残念な印象を持たれるのは、とてももったいないことです。仕事で何かご縁がありそうな場合、まずは名前で検索をかけられる時代ですので、人柄が表れやすい実名のSNSでは慎重に言葉を選ぶのが賢明です。
愚痴に限らず、ネガティブなフレーズや守秘義務・倫理観を疑われるような文章になっていないか、世界に発信する前に一呼吸して第三者の目線で自身の文を読み直してみましょう。

●他人の記事をシェアする場合は、独自の分析や情報を含める


 ニュースやコラムを読んで、思わず知人にシェアしたくなることがありますね。速報性を重視する場合はリンクを貼るだけでも良いのですが、さらに自身のコメントや感想を付け加えるとより効果的です。実際にSNSで拡散されている記事も、無言でリンクを貼っただけの投稿より、自身ならではのコメントを付け加えられた投稿のほうが人の目に触れ、反応を呼び、ひいては拡散した人の注目度が上がります。
 たとえば「会計基準や税制に改正があった」という記事に対して、「実務上こういう影響がある」など、より実務に即した分析を加えたり、会計に全く関係のないニュースでも「会計士の発想で応用したらこうなる」などのコメントをしたりしていると、他の会計士とは異なる魅力を感じてまた読みたくなるものです。

●細く長く継続する


 SNSは日々流れていきます。たとえばコーポレートサイトのブログが定期的に更新されていることで「活性化している組織」と認識されることが多くあります。毎日更新されていると、いつしか読者は更新を楽しみに読みにくるようになります。読者にとって有益な情報を発信している会計士のブログの更新頻度が高い場合、最新の知識を持っていそうという印象から仕事でも信頼できそうと思われ、Web経由で仕事の依頼を受ける可能性も高まります。これは、発信そのものが自身の広告になっているためです。看板のない独立士業は人柄で選ばれることが多いものですので、SNSとの親和性は高いといえますね。

 余談ですが、筆者はSNSで初めて知り合ったかたと一緒に仕事をしたことや、勉強会仲間になったことがあります。工夫次第でチャンスが広がるSNS。対面でのリアルなコミュニケーションが大切であることは間違いありませんが、営業のツールの一つとして、自身に合うSNSも取り入れてみてはいかがでしょうか?