会計士協会に届出を出すだけで、形だけはすぐに「独立開業」ができます。しかし、本当の意味で独り立ちするためには当たり前のことではありますが収入=売上が必要ですね。独立会計士にとっての売上の形と、具体的な方法を紹介します。

売上の類型

・直接受注型…お客様と直接契約をし、直接報酬を受け取るタイプ。
・下請型…お客様とすでに契約している会計士・税理士の手伝いをすることで報酬を受け取るタイプ。

売上・収入を得る入り口

    監査法人時代のクライアントからの監査以外の業務受注:直接受注型

監査法人では受注できないIPOコンサルティング(文書化支援)、開示チェック支援など、企業から直接契約ができる場合があります。クライアントの決裁権者と直接やりとりをしていて、かつ監査法人の枠を超えて信頼を得た状態で独立した場合に絞られるので、マネジャーくらいまで在籍した場合に限られるかと思います。

    先輩会計士からの紹介、サポート:直接受注型・下請型

独立会計士の先輩の事務所に依頼が来た仕事で、先輩が受注しなかった案件を紹介してもらえることがあります。先方担当者のご了承を得て直接受注するか、又は、契約の窓口は先輩で、その担当者又はサポートとして、経験を積みながら収入を得ることができます。

    監査法人で非常勤勤務:下請型

独立したばかりの会計士にとって、最も収入源として活用しやすいと思います。最近の監査法人の会計士の非常勤単価は5,000円~10,000円が相場です。しかし、将来は監査以外の分野で独立したいと考えている場合は、監査法人での非常勤勤務は長期的に行うものではないと心づもりをしておいた方がよいでしょう。

    顧客紹介会社・会計ソフトベンダーの紹介システムの活用:直接受注型

紹介会社等から顧問税理士・会計士を探している企業・事業主の案件の紹介を受けるタイプもあります。紹介会社によりますが、紹介手数料はお客様と契約できた年間報酬の20~50%が相場とされています。

    他士業、他業種とのコラボレーション:直接受注型

特に信頼のできる司法書士、社労士、保険外交員と提携しておくと、彼らからの紹介で仕事が広がる可能性があります。

会計士にとってはなじまない営業

会計士の仕事は、経営者との信頼関係を基礎とするものです。「数打てば当たる」の精神で行う以下の方法による営業はあまり効果がないばかりか、方法を誤ると業界自体の品位を損ねてしまうので注意が必要です。
・チラシのポスティング
・テレアポ
・飛び込み営業

まとめ

独立する際には、なるべく多くの方に「独立宣言」をし、得意分野や自分の強みを明確に示せると良いと思います。しかし、売上を確保したい気持ちが先行するあまり相手の気持ちを汲み取らず「自分を買ってほしい」「仕事をください」「でも安い仕事はできません」という自己主張ばかりを強く出してしまうと、相手は離れていくものです。

あなたが人間としても専門家としても信頼に足る会計士であれば、意外なところから仕事につながることも少なくありません。依頼主に敬意と感謝を忘れずに、そして得た仕事は一つひとつ丁寧に全力で取り組み、信頼を積み重ねていくことが大切ですね。