公認会計士のキャリア事例〜事業会社編〜
経理ではない経営企画職へ転職、それでも生きた監査法人での経験とスキル
■監査法人からの転職
私は公認会計士試験に合格後、大手監査法人で国内事業会社の監査に従事していました。 転職を意識するようになったのは3年目を迎えた20代半ばです。監査法人にいる先輩女性会計士はスーパーウーマンに見え、自分のロールモデルはいない、監査法人に残る自分を想像できない、と思ったのです。
修了考査に合格後、4年勤めた監査法人を退職して一般事業会社の経営企画室に転職しました。今までと違うことをしたくて経理ではなく企画を希望しました。キャリアチェンジとなる転職ですから、会計士としての資格を捨てるようなもので当然迷いはありました。
転職エージェントには、企業は経験者を求める傾向が強いためキャリアチェンジの場合は決定が難しいことや、年収はダウンか良くてもイーブンになると言われました。それでも人生一度きり、冒険するなら若いうち、と一念発起しポテンシャル採用で決まりました。年収は監査法人時代の500~600万とほぼ変わらない金額でのスタートになりました。
■経営企画での業務と、求められる能力
主たる担当業務は、3カ年計画の策定や予実管理です。3カ年計画では経営者が描く理想を具現化し、最終的にPLを作ります。予実管理では年度PLをもとに設計した月次PLや重要指標を月次あるいは週次でモニタリングします。
特に求められる能力は、論理的思考能力とコミュニケーション能力です。経営者を含む役員の方々や担当商品の部課長に納得してもらうために、根拠は論理的でわかりやすくなければなりません。納得を得られず、ゼロから作り直しということもありました。また、PLが最終的には営業部の目標になるため反発を受けることもあります。日頃から良好なコミュニケーションをとり、信頼関係を築いておくことが大事だと実感しました。
説明資料はほとんどがパワーポイントで、最初は作るのに時間がかかりました。監査法人時代に学んだことで活かせたのは、管理会計や財務分析のスキルだと思います。
監査で当然のように提出してもらっていた3カ年計画や予算ですが、深夜に及ぶ議論や作業を重ねてやっと完成します。そのため、監査法人のときと同じように終電やタクシーで帰宅することもあります。体力的に辛いですが、目標に向かってひた走る一体感があり、達成したときの充足感を得られます。
■育児休業と今後について
現在転職して4年目になりますが、妊娠・出産を経て育児休業中です。待機児童が多い地域のため保育園に落ちてしまい、このまま預け先が決まらなければ退職もあり得ます。ただ仮に退職することになっても、数年子育てに専念し転職する道もよいのではないかと思っています。そう思えるのも、会計士という資格があるからこそです。
最後に、ロールモデルはいないと思って転職を決意しましたが、今ではロールモデルはいなくて当然だと思うようになりました。仕事に対する思いや優先順位は、人それぞれ、その時々で違います。私自身、いまキャリアに迷っている状況ですが、ライフステージによって仕事や働き方を変えても良いと思い、自分はどうしたいのかを一番に考えてキャリアを見つめ直すつもりです。
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