会計士事務所・税理士事務所として独立開業後、顧客獲得が事務所経営の重要事項であることは言うまでもありません。資金や時間などの資源が限られる中、効率良く顧客を増やす方法として、紙媒体でのダイレクトメールについて説明します。

紙媒体を使った集客は有効

インターネットやスマートフォンの普及により、会計士事務所がwebマーケティングで顧客を増やす事例が増えておりますが、紙媒体のダイレクトメール(以下、「DM」)がwebに比べ高い集客効果を見込める分野もあります。具体的には、事業承継や財務体質改善など、社長が問題意識を持ちにくい分野です。このような経営課題は、重要性が高いものの緊急性が低く、リスクが発現するまでの間は、webマーケティングでは潜在顧客にリーチし難いのが実態です。

また、紙媒体のDMはコストがかかるものの開封率やレスポンス率が高く、問い合わせや成約に至る割合から計算して費用対効果の面でwebを上回るケースもあります。実際、インターネットの普及でweb上の情報が増えすぎた等の理由から、紙媒体のDMを見直す動きもあります。

web経由と紙媒体経由の顧客層は異なることも

帝国データバンクが発表した「全国社長年齢分析(2019年)」によれば、日本全国の社長の平均年齢は59.7歳です。また、総務省が発表した「平成30年度情報通信白書」によれば、20〜50代の世代においてはインターネットの利用率(2017年)が90%を超えている一方で、60代前半の世代では81.2%、60代後半では67.9、さらに70代では46.7%です。加えて、都道府県別のインターネット利用率では、東京など一部地域が85%以上あるのに対し、東北や九州などの一部地域では75%に満たないエリアがあります。

ターゲット企業の経営者の年齢やサービスを展開する地域によっては、紙媒体でのマーケティングも見逃せません。

重要なのはwebと紙媒体の充実

一般社団法人日本ダイレクトメール協会が発表した「DMメディア実態調査2017」における調査項目「DMを受け取った後どんな行動をとったか」によれば、DMを開封し行動を取った人の中で最も多かったのが「ネットで調べた」でした。また、「資料請求した」や「会員登録した」と回答した人も一定数おります。つまり、紙媒体でのDMとwebを組み合わせることで集客を伸ばす効果が期待できます。その際にキーとなるのが、誘導を意識したDMやホームページとすることです。具体的には、QRコードや検索キーワードのDMへの掲載や、アクセス解析ツールを利用したホームページの継続的な改善活動などが効果的です。

今回は、紙媒体のDMについて、会計士事務所の集客を増やすうえで期待できる効果やwebマーケティングと組み合わせて効果を高める方法などを紹介しました。独立開業後の顧客開拓において参考になれば嬉しいです。