会計士事務所・税理士事務所として独立開業後、最重要課題の一つが売上の確保、つまり顧客開拓です。顧客開拓には様々な方法がありますが、複数の方法を組み合わせ、幅広い規模・業種・ステージの事業者から多様な引き合いを得ることを意識した活動が重要です。ここでは、win-winな関係を意識した提携先の開拓について説明します。

同じ顧客を持つ提携先はないか?

新設法人には、設立後の1〜2週間程度で10通ほどのダイレクトメールが届くことが珍しくありません。つまり、会計士事務所のほか、その他士業、会計ソフト、OA機器、通信機器、オフィス用品、不動産仲介業者なども新設法人をターゲットにしていることが分かります。

ターゲット顧客の層が近い異業種企業と組み、お互いの顧客を紹介し合うことで、効率的な営業活動が展開できるだけでなく、場合によっては自事務所の顧客に感謝されることもあります。

提携先を選ぶ際に重要なのが、①自事務所との提携に先方もメリットを感じてくれるか、②自事務所の顧客に紹介できる事業者か、です。

①について、会計士事務所のサービスは単価が比較的高く、かつ投資回収が比較的容易なストック型ビジネスのため、1件の紹介・成約に一定の労力をかけることができます。一方、単価の低い商材を扱う異業種企業の場合、1件の新規契約に時間・労力をかけられないため、提携の話は響きません。そこで、司法書士や社労士などのその他士業や、医療機器や工作機械等設備のメーカー、不動産仲介や人材紹介会社などが提携先の候補となります。

②について、常に忘れてはいけないのが顧客優先の発想です。提携する異業種企業へ自事務所の顧客を紹介した際に顧客にメリットがなければ意味がありませんし、顧客に迷惑がかかりそうな企業の紹介はあってはなりません。この観点では、地銀や信金も提携先の候補となるでしょう。

提携先は多い方が良い

提携先は、すぐに個別企業を紹介してくれるケースもあれば、見込み企業が複数集まりそうな異業種交流会などへ招待してくれるケースもあります。自事務所のセールスポイントを相手に印象付けておけば、数ヶ月経ってから突然連絡を受けるケースもあるでしょう。

webマーケティング、ダイレクトメール、セミナー、地元の商工会等団体、書籍など会計士事務所の営業活動ツールは複数種類ありますが、提携先からの紹介はコストがかからないうえ、既述の通り顧客に感謝されることもあり、事務所経営の安定化のためにも多くの企業と提携すると良いでしょう。

関係性構築は時間をかけて

提携先チャネルのデメリットは、相手が提携のメリットを感じてくれない限り提携してもらえない点です。つまり、自事務所の顧問先企業数が少ないうちは、本気になって提携してくる異業種企業は多くありません。ここで重要になってくるのが、独立前からの人脈です。まずはサラリーマン時代に作った人脈を頼りに紹介を依頼し、自事務所の成長に合わせ時間をかけて提携先を増やしていきましょう。

今回は、独立会計士の顧客開拓手段として、異業種企業とのアライアンスについて、基本的な考え方を紹介しました。長期的な関係を築ける顧客を開拓するために、ぜひ活用してください。