会計士事務所・税理士事務所として独立開業後、顧客開拓のチャネルとなる紹介ルートを増やすことが事務所の成長を後押しするのは言うまでもありません。今回は顧客開拓チャネルとしての既存顧客の重要性や、紹介ルートを活かすうえで欠かせない考え方等について説明します。

既存顧客は重要な顧客紹介候補

ターゲット層の近い異業種企業とwin-winな提携関係を築き、紹介ルートを拡大しながら、既存顧客の満足度を上げることで、新規顧客の増加と既存顧客の契約維持を同時に図ることができます。

具体的には、地銀・信金、その他士業、不動産仲介業者、人材紹介会社、医療機器や工作機器商社などと関係を作ることになります。その際に優先すべきは既存顧客の利益ですので、既存顧客の利益に繋がりそうな異業種企業と提携すべきです。そのためには、既存顧客との平時のコミュニケーションを通し顧客の関心事にアンテナを張ることが大切です。

既存顧客の関心事を的確に把握しこれに応えていくことで信頼関係が強まります。一般的に、企業経営者は他社の経営者と情報交換する機会が多く、また、似たような悩みを抱えるケースがよく見られます。強い信頼関係のできた既存顧客は、似た悩みを持つ知人の経営者を紹介してくれることがあります。税務や会計等サービスの提供を通して新たな顧客を紹介してもらえる訳ですから、既存顧客を紹介ルートとして重視しない手はありません。

しっかりとした下準備が重要

既存顧客に限らず紹介ルートを顧客開拓のチャネルとして活かすには、提携後のアプローチがキーとなります。つまり、紹介してもらうのを待つのではなく、提携先や既存顧客が紹介しやすくなるような下準備が重要です。

具体的には、3者間(顧客、自事務所、提携相手)でwin-win-winの関係が見込める提携候補の選定、提携相手におけるメリットの明確化、提携候補向け提案書の作成等が下準備となります。

相手のメリットは何か?

前述の下準備のうち、提携先からの紹介件数の大小に特に影響を与えるのが、「提携相手におけるメリットの明確化」です。分かりやすい例の一つが、自事務所の顧客の紹介です。地銀・信金への資金ニーズある顧客の紹介や、社労士への労務相談ニーズある顧客の紹介が該当します。その他、不動産仲介業者の営業マン向けに不動産を使った節税のセミナーを開くといった方法も提携相手への有効なアプローチと言えます。

今回は、独立会計士の顧客開拓手段として広く活用されている紹介チャネルの観点から、既存顧客の重要性や提携後のアプローチにおける基本的な考え方を紹介しました。既存顧客や提携先とのコミュニケーションを通し顧客開拓を進める際の参考になれば、幸いです。