会計士事務所・税理士事務所として独立開業後は、webマーケティング、紹介ルート開拓ないしセミナー開催などの様々なチャネルを使い顧客獲得を図ります。いずれのチャネルであっても、会計士が提供するサービスの性質から、問い合わせ後に面談を経て受注に至るケースが大半です。これら一連のフローにおいて、営業の観点で会計士が押さえるべきポイントを紹介します。

全てのお客様を受け入れる

独立し、会計士事務所を開設すると、巡回監査、申告書類の作成および税務相談などの専門サービスのほか、ホームページの更新、セミナーの準備、人材採用など、やるべきことが多岐に渡ります。そのため、せっかく問い合わせを受けたのに、その内容を踏まえて断ってしまうケースが見られます。

プロフェッショナルとして、事務所のポリシーに合わない依頼や明らかに納期に間に合わない引き合いを断ることももちろん重要です。一方、特に独立から間もない時期は、たとえ少額案件や精通していない業種からの問い合わせであっても、中長期的な視点から、問い合わせを受けた全てのお客様から受注するくらいの覚悟で対応すると良いでしょう。

営業の型を実践

会計士をはじめ士業の中には、営業に苦手意識を持つ方が少なくありません。一方、問い合わせを受けた際の電話対応やその後の面談を通し受注率を上げるには、いわゆる営業力が必要なのは事実です。そこで、受注力を上げるために推奨するのが型です。営業のフローを標準化し実践するものとも言えます。

まずは、電話対応のトークスクリプトを作成し、想定される引き合いの種類に合わせたトークを文書化すると良いでしょう。何度も作成し直す中で、顧客の声に耳を傾けることの重要性や、具体的な数字や事例を示すことの有効性に気づきます。

営業の型を導入すると、営業が苦手な会計士でも受注率を上げることができますし、事務所の職員が増えた際に部下に営業の方法を分かりやすく伝えることもできます。

進捗管理がポイント

独立会計士は、経営支援や税務サービス等と合わせて、営業活動を並行して行うことになります。問い合わせを受けたステータス、初回面談の日時や場所を調整中のステータス、見積もり提示済みで回答待ちのステータス等、営業活動の進捗管理を細かいレベルで行うことで、潜在顧客からの信頼を高めるだけでなく、案件の取りこぼしを防ぐことができます。

また、顧客へボールを渡す際は、顧客からの回答期限を設定し、その日までに連絡がなければこちらから連絡するよう心がけましょう。先方がただ連絡するのを忘れているケースや、他事務所と比較し迷っているようなケースでは、フォローの電話一本で受注が決まることがよくあります。

今回は、独立会計士が営業活動をするうえで押さえるべき基本について説明しました。営業の基本は、一度身につけてしまえば習慣化され、自然にスイッチが入るようになります。独立会計士の受注率アップへ向け、参考になれば幸いです。