会計士事務所・税理士事務所として独立開業後、所長の最大の関心事の一つが顧客獲得です。ホームページの開設やダイレクトメールの活用により問い合わせの電話を受けたら、営業面談を行います。今回は、会計事務所における営業フローの最終ステップとなる営業面談でのよくある失敗事例を紹介します。

無料相談で終わらせてはいけない

webマーケティングやダイレクトメールなどの活動により見込み顧客から問い合わせの連絡を受けて初めて面談する場合、無料相談を前提とするケースが多いです。しかし、面談を無料相談で終わらせたら、ただの「いい人」です。それまでのマーケティング活動が無駄になるだけでなく、面談に割いた時間もロスします。

契約の話を切り出せない会計士は、ご自身がプロフェッショナルであることを改めて自覚しましょう。決算申告、税務相談および資金調達など、会計士が提供するサービスは顧客企業の経営に大きなインパクトを与えるため、相応の対価をいただくのは当然です。これが理解できない相談者は、こちらから断るくらいの意気込みが良いでしょう。見込み顧客側も、無料相談は会計士事務所による営業の場であることを分かった上で面談しております。

適切な時間配分を意識

営業面談で契約獲得の確率を上げるには、時間配分にも気を配りましょう。会話のリズムを顧客に合わせることは営業面談の基本ではありますが、会話のペースを握られ、2時間など長時間の面談は避けるべきです。そのためには、問い合わせ電話の段階で、顧客の相談事項や、業界、業歴、規模などの基本情報をヒアリングし、準備(後述)のうえ面談に臨むと良いでしょう。また、顧客が会計事務所を選ぶ際に重視するポイントを早めに把握し、その点について時間をかけて説明し、その他の点は簡潔に短く説明するなど緩急をつけることで、1時間程度の面談でも印象の強い面談を行うことができます。

営業資料を準備するのは必須

前述の通り、営業面談には準備をして臨むべきです。具体的には、サービスの内容、スコープおよび金額を含む資料を用意します。これは、時間配分の観点だけでなく、コミュニケーションやトラブル防止の観点でも効果的です。

コミュニケーションの観点では、口頭のみで説明した場合と比べ、グラフやイラストなどの視覚情報をプラスした方が、聞き手の理解を得やすいとのメリットがあります。

また、特に税務会計サービスを受けた経験の少ない見込み客の場合、サービスのスコープや金額などの条件を文字で示すことで、双方の理解の不一致を小さくし、契約後のトラブルを防止する効果があります。

今回は、独立会計士が顧客獲得するために重要な最終ステップとなる営業面談でのよくある失敗事例を紹介しました。他人の失敗事例から学び、受注率の高い営業活動を目指して下さい。