会計士独立コラム:会計事務所での社員採用のタイミングとは?
会計士事務所・税理士事務所として独立開業するに当たり、多くの方は「5年以内に売上○千万円」といった目標を掲げます。このような目標を達成し、独立開業を成功させるために必要な活動の一つが人材採用です。監査法人等に勤務していれば採用業務に携わらないケースが多く、また人手不足により採用の難易度が上がっており、採用のポイントを理解することが一層重要になっております。
人事採用のタイミング
既に会計事務所を経営される会計士や税理士より、開業後最初に職員を採用したタイミングについて話を聞くと、皆さんバラバラです。顧問先に対する税務会計サービスや新規開拓のための営業活動に加え、各種の事務処理まで所長一人で対応し、肉体的・精神的な厳しさを感じてから初めて職員を採用したケースもあれば、顧問サービスの品質を落とさずに営業活動を並行して行うことの難しさを理解し、職員を早めに採用したケースもあります。
一定のスピードで事務所の拡大を目指すのであれば、余裕が全くない状態に陥るまで一人で奮闘しながらコストを低く抑えるより、人材採用は先行投資と考え、社内の分業体制を作りながら営業活動や報酬単価の高いサービスなどに所長の時間を投下し、開業時に立てた目標の達成を優先することを勧めます。
最初に職員を採用するタイミングに正解はありませんが、顧問先が20〜40件まで増えたタイミングが目安と言えます。
はじめの大切な戦力はどういう人材が良いか
職員の採用に当たり、募集活動の前に必ず行うのがターゲット像の設定です。開業後しばらく所長が一人で対応していた業務のうち何をその職員に任せるかでターゲット像を決めることになります。具体的には、資格の有無、業界経験の有無、勤務可能時間、人柄等で設定します。
前職時代の後輩を受け入れ、プロフェッショナル2名体制で事務所を拡大するケースもありますが、会計データの入力や申告書類の作成補助など難易度は低いものの時間の取られる業務を任せられる職員を最初に採用するケースが多いです。その場合、正社員にこだわる必要もないでしょう。
公認会計士の有資格者が良いのか
有資格者や業界経験者が採用できれば、即戦力との観点ではメリットがありますが、まずは難易度の低い業務を分業するために職員を採用するのであれば、強くこだわる点ではありません。簿記3級程度の基本的な知識さえあれば、来客した顧客に好印象を与える人柄や、論理的思考および新しいことを学ぶ姿勢の方が、より重要です。
今回は、独立会計士が開業時に掲げた目標を達成するうえで重要な人材採用のうち、最初に職員を採用する際の考え方を紹介しました。事務所経営の中で人材採用が壁となるケースも増えております中、参考になれば幸いです。
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