会計士事務所・税理士事務所として独立開業し、開業時の目標に向かい事務所の規模を拡大させる中で、人材の採用は不可欠です。国内の人手不足が一段と進み、ライバルとの人材の奪い合いが激しくなることが予想される中、必要なタイミングで事務所の方針に合う人材を採用するためのポイントを紹介します。

採用もマーケティング

会計事務所を開業後、新規顧客を獲得するために、ホームページの作成、各種の広告、ダイレクトメールなどのマーケティング活動を行います。これらマーケティング活動は、想定顧客群に対し、訴求ポイントと思われる事務所の特徴をアピールすることで、事務所の知名度を向上させ、税務会計等のプロフェッショナルサービスに関する問い合わせを得ることを目的とした活動です。

人材採用も同様に、採用したい人物像(想定顧客群)に対し、事務所で働くことのメリット(訴求ポイントと思われる事務所の特徴)をアピールすることで、就業希望者からの問い合わせを得ることを目的とした活動です。マーケティングと同じ考え方と言えます。

アピールできる会計事務所の強み

人材採用をマーケティングと捉え重視したいのは、採用したい人物像、およびその人物が魅力を感じる事務所の特徴や採用条件の設定です。人物像については、その人に任せたい業務がある程度明確になってさえいれば、比較的容易に設定できます。

一方、就業希望者が魅力を感じる事務所の特徴、つまりアピールポイントについては、注意が必要です。業務を通したスキルアップを重視したい就業希望者と勉強時間を確保し資格取得を目指したい就業希望者、産休・育休によるブランクのキャッチアップだけでなく責任のある仕事まで引き受けたい就業希望者と子育てを重視し時短で働きたい就業希望者など、各就業希望者が魅力を感じるアピールポイントは様々です。

人材募集を行う際、一般的には、「雇用形態」「給与」「福利厚生」「仕事内容」「求める人材」「勤務時間」「職場環境」「その他のアピールポイント」等を列挙します。それぞれの項目で採用したい人物像を意識した設定を行い、求める人材から応募を受ける確率を上げることができます。「その他のアピールポイント」で、事務所の強みとも言える成長性や働き方への融通さなどの記載も忘れないようにしましょう。

今回は、独立会計士が人材を採用する際の基本的な考え方を紹介しました。就業希望者のニーズや、ライバル事務所が求める人物像は様々です。マーケティング視点での人材採用で、良い仲間を増やして下さい。