会計士事務所・税理士事務所として独立開業後、独立前に設定した目標を達成し開業を成功させるために避けて通れないものの一つが、人材採用です。また、開業後に初めて採用する人材は、会計データの入力や申告書類の作成補助などの事務系業務を任せるパート・アルバイトとなるケースが多いです。ここでは、会計事務所がパート・アルバイトを採用する際のポイントを紹介します。

理想的なパート採用は成立しない?

パートやアルバイトで人材を採用する際、最初に理解するべきは、求職者の多くが、自らパートやアルバイトという雇用形態を選んでいるという事実です。つまり、子育てや介護のほか、配偶者特別控除や扶養範囲などの税金・社会保険の壁など、長時間働くことのできない制約・理由があります。実際、年収が100〜130万付近のパート・アルバイト労働者の多くは、「壁」を超えないよう労働時間を調節しているとの調査結果もあります。

このため、パート・アルバイトを募集する際は、働き方に柔軟性のある職場環境である点をアピールすることが重要です。また、採用後は、確定申告の時期など事務所が多忙な季節であっても、採用時に決めた退社時間になったらパートさんが帰りやすい雰囲気を維持するなど、パートさんに長く働いてもらう工夫が重要です。

公認会計士の採用と同じ考えは禁物

公認会計士や経験者を採用する際に活用するような求人媒体の中にも小規模事務所向けのパート求人に実績のある媒体はありますが、特に事務系業務を任せる人材を採用する場合は業界経験を重視する必要性は低く、幅広い候補者から選べるよう、大手の求人媒体を活用するケースが多いです。

パート求人の媒体は複数あり、年齢層や学歴などでそれぞれ特徴があるため、求める人物像に合わせて使い分けます。パート応募者の中には、過去に会計事務所や事業会社の経理部で経験のある人もいますが、過去の経験を問わない姿勢をアピールし応募者の心理的なハードルを下げる方が、より多くの候補者から自事務所に最適な人材を選ぶことができます。

今回は、独立会計士がパート・アルバイトを採用する際の考え方や採用のポイントを説明しました。独立後の比較的早いタイミングで事務系の業務を任せるスタッフをパートで採用する事務所が多い中、皆さんのご参考になれば幸いです。