会計士事務所・税理士事務所として独立開業後、事務所の規模拡大に合わせて、事務所の成長を一緒に支えてくれる職員を採用します。時間とコストをかけた採用活動の最終ステップが内定です。今回は、内定者が辞退しないためのポイントや、モチベーション高く入社してもらうためのポイントを説明します。

内定後が勝負

求人媒体や人材紹介会社を活用して母集団を形成し、応募者からの履歴書・職務経歴書で書類選考を行い、複数回の面接を経て、ついに内定を出します。内定まで、相当な費用と時間をかけますが、内定の出し方やその後のフォローを誤ると、内定者は辞退してしまいます。

会計業界の採用マーケットにおいては、公認会計士や税理士などの有資格者だけでなく事務職を含め売り手市場の状況が続き、新卒者も転職者も複数事務所から内定をもらうケースが多いです。決断に迷う内定者の心境を理解し、的確なコミュニケーションを行うことで、内定辞退を減らすだけでなく、高い意欲を持って入社してもらうことができます。

クロージングに必要なコミュニケーション

採用活動におけるクロージングとは、応募者へ内定を伝えることを指します。事務所側が内定辞退を心配しているのと同じように、内定者側も、「この事務所で活躍できるのか」「事務所のメンバーから本当に歓迎されているのか」といった不安を抱えています。

内定者のそのような不安を取り除くため、内定決定の連絡は書面やメールでの通知ではなく、電話もしくは対面で伝えるべきです。その際は、面接時のやり取りを振り返りながら、内定の決め手となったポイントや、期待している点などを伝えます。内定者を安心させるだけでなく、やる気・入社意欲を高めることを意識してコミュニケーションすることが重要です。

内定後のフォローは細心の注意を

内定を通知後は、内定承諾書を提出してもらいますが、このタイミングでの内定辞退の主な原因は、仕事内容に対する不安です。入社まで期間がある場合、単に連絡を取るだけでなく、研修や懇親会を通して事務所や仕事内容を知ってもらう機会を提供し不安を解消させましょう。

その他、内定者によっては、「先輩社員から話を聞きたい」、「入社日までに足りない知識を補いたい」といった不安を持つケースもあります。重要なのは、内定者一人一人の悩みを理解し、それぞれに合ったフォローを行うことです。

今回は、人材採用における最終フェーズとも言える内定の伝え方や内定後のフォローについて、中小会計事務所の視点から紹介しました。より良い人材の確保のために参考にしていただければと思います。