最難関国家資格の1つである公認会計士。会計のプロとして社会から期待されていて高収入も期待でき しかし、いざ監査法人から独立すると、今まで直面したことのない壁が立ちはだかる。クライアントとの信頼構築である。

今回は多くの独立会計士を支援している公認会計士の田中智行氏と大手企業のビジネスパーソンに向けてヒューマンスキル研修を数多く行っている内海賢氏に、公認会計士にとっての必要なスキルについて語っていただきました。
※本コラムは2020年4月から開始する研修の連動記事です。研修の概要はこちら

公認会計士が独立したときに直面する壁

(田中)
ご存知の通り、公認会計士は会計の専門家です。さらにいうと、社会から求められるガバナンスなど、ルールの中で会社を支えていく専門家であり、会社を支えるための知見を豊富に持っていることが求められる職業です。

また、多くの公認会計士が会計士試験合格後に就職するのは監査法人であり、公認会計士に求められる専門的知識は監査法人での勤務を通じて当然身につけていくことができます。

しかしながら、いざ監査法人を退職して独立したとき、壁にぶつかってしまうのです。顧客との信頼関係構築です。多くの案件を獲得するためには、顧客との信頼関係を構築することが鍵を握ります。特に、新規の見込顧客の場合、いかに早く信頼関係を構築できるかが受注の明暗を分けますし、また、既存顧客から信頼を得られれば、契約を継続してもらったり、他の顧客を紹介してもらったりすることができるようになります。

専門的な知識を持っていることは公認会計士であれば当たり前ですから、それだけで他の公認会計士から一歩抜け出て仕事を任せてもらえるかというと、なかなか難しいのが実情です。平均的な公認会計士から一歩抜きん出てさらに飛躍するためには、信頼関係構築の壁を突破することが重要となります。

監査法人でのキャリアという特殊性

公認会計士の試験に通れば、ほぼ自動的に監査法人に入所できてしまいます。ほとんどの公認会計士は会計士試験合格後に、監査法人に入所できるため、自己分析をする必要がない方も少なくありません。つまり、多くの新卒社会人とは異なり、自己のことを深く分析して入社希望企業にプレゼンするというような機会はありません。

さらに、誤解を恐れずに申し上げれば、監査法人は、法制度という社会的に必要なシステムに組み込まれた守られた存在です。上場企業や大企業は金融商品取引法や会社法の定めに従って監査法人の監査を受け、監査意見をもらわなければなりません。そういった法的義務の枠内にあるという状況においては、クライアント企業の担当者はある程度話を聞いてくれます。
例えば、監査法人側がクライアントに対して会計上の論点や監査上の指摘事項を伝える際に、伝え方が下手だったとしてもクライアントは理解しようと努めてくれます。通常のビジネスシーンにおいてはあり得ないですよね。

もちろん、監査法人勤務の公認会計士がコミュニケーション下手と言いたいのではなく、構造として相手に合わせたコミュニケーションするスキルが磨きづらい環境なのです。

私がお会いしてきた公認会計士は基本的に全員誠実です。しかも、知識のアップデートには余念がありません。しかしながら、専門知識の追求だけではフリーランスとして食べていくことは難しい側面も存在します。

相手がまた気づいていないニーズに気づく洞察力。相手の状況を理解した上で解決策を提示する伝える力など、私も監査法人所属時も意識はしていましたが、監査法人をやめてみて、より重要性を痛感するようになりました。

戦略的に「うまが合う」ようにするスキル

(田中)
自分の思考を客観的に明らかにした上で、顧客と対峙することの重要性を、内海さんから学びました。

なぜか自分を気に入ってくれるクライアントが現れることがあると思います。そのとき、多くの人が、なぜ自分を気に入ってくれたのかを十分に分析することができていなくて「真面目に仕事を提供していたから」で完結しちゃうんですよね。

俗に言う「うまが合う」ということですが、戦略的にうまを合わせられるようになることが独立会計士にとっては重要だと思っています。

独立したばかりの公認会計士は相手の目線に合わせるということがうまくいかないケースが多いと思います。「相手が専門家ではない」ため、いくら品質の高いものを提供したとしても、伝え方によってはそれが理解できない方は大勢います。

監査法人にいる頃はクライアントも大手企業ばかりゆえ担当者がこちらの文法や言葉を理解できる人なので気づかないんですよね。独立するとそうじゃない人の方が大半です。経験の浅い企業担当者に対してのアプローチには、コミュニケーションギャップがあるので、相手の前提を理解した上でしっかり伝えないとやっていけません。

(内海)
研修講師も同じですね。リピートできていない講師は「難しいことばだけを言って相手の理解度を気にしない講師」です。

(田中)
会計士は良いか悪いかは別として「先生」と言われます。そうすると、いつの間にか先生ポジションでの物言いになってしまいがちです。先生ポジションというのは、いわば、上から目線。「パートナー」になれていない、ということでもあります。

(内海)
お医者さんでさえコミュニケーションを見直していますよね。つまり「患者の気持ちを理解しているか」という意識が強くなってきました。会計士も「サービス業」なのでお客様目線で提供できるかが重要なのは言うまでもありません。

(田中)
相手に意識を向けて丁寧に対話することが重要と頭では分かっていても、いざ実践となると、うまくできていない。無意識のうちに自分のやり方が前面に出てしまい、大事なことを忘れてしまう。結果、コミュニケーションの相手を置き去りにしてしまうんですよね。そうなると、相手は「この人、自分のことをわかってくれているかな?大丈夫かな?なんかコミュニケーション取りづらいな。。。」と不安になります。そのような状態では信頼関係の構築は難しくなってしまいます。
そして、うまくできていない人の中には、できていないことに気付いている人と気付いていない人がいますが、いずれにしても、まずは自分のコミュニケーションの現在地を客観的に知るということが大切だと思います。

実践で鍛えられるコミュニケーションスキル

(内海)
そうですね、コミュニケーションというのは意識をしても実践の場がないとどうしても鍛えられないものでもありますよね。

コミュニケーションは、相手がどういう物事の捉え方をするか、何がささりやすいかという心の動きなどを外形的な動きから察知し、そこからどういう言葉を投げるべきかを判断していくことの連続です。

相手がビジュアルで掴む人なのか、詳細まで説明して納得する人なのか。経験はフィードバックを得ながら積み重ねるものなのなんですよね。私が行う研修ではデモケースとかのワークショップを数多く行っております。私が会社を立ち上げてからは、企業向けに新入社員から部長まで、ヒューマンスキルを担当しています。脳の働きの認識スタイルを「見える化」して、自分の個性を割り出して、意識の向いていないところに光をあてるという手法が顧客から受けています。

HPも作っておらず、口コミで私のことを知ってもらい。コアとなるクライアントとのつながりを作ってきました。年間200日近い研修をしており、どうやって信頼を得てきたか、どうやってクライアントさんに気に入られてきたか、どうやって自分を見せてきたかを、脳の構造という話を踏まえて専門的にお話しします。

今回のワークショップについて

(内海)
人はそれぞれ自分の脳内プログラムを使っています。まずは全世界40か国で受験されているベルギーの認知科学テストであるiWAMを受けてもらいます。
そのテストによって自身の脳内の癖を認識し、改善していきます。同じ境遇の会計士が集まってワークショップを行うことでフィードバックループを多く回していきたいと思っています。

また、、2月と3月にそのエッセンスを知ってもらうためのワークショップを行います。このワークショップでは、顧客開拓に悩まれている方に対して「無意識を意識化」することをテーマに開催しますので、是非ともご参加ください。

会計士.jobからのお知らせ

「会計士.job」では公認会計士のための継続的なキャリア支援としてbridgeアカデミアを開催いたします。ご関心ございましたら、是非以下URLへアクセスください。 https://cpa-workstyle.com/seminar/