【会計士インタビュー】公認会計士が語る、独立のリアルと未来へのビジョン
今回は経理決算支援で活躍している高橋さんと佐々木さんにお越しいただきました。会計士.jobの活用方法や自分の叶えたいことに向けてどのように行動したか、色々聞かせていただきました。
株式会社Liberaize 代表
佐々木 裕史 様
大学卒業後、ベンチャー企業向けのWebマーケティングに携わるエンジニア(SE)として従事。簿記2級を持っていたことから経理サポートをすることになり、簿記1級取得後、公認会計士を目指す。 2015年に公認会計士試験に合格しあずさ監査法人へ入所。その後弊社高橋と共に株式会社Liberaizeを設立し、共同代表として活躍中。 主に内部監査業務支援や財務DDを担当している。
株式会社Liberaize 代表
高橋 健太 様
2015年に公認会計士試験に合格し、2016年2月にあずさ監査法人へ入所。 3年弱監査業務に従事後、経理の知識を身に着けるために当時の一部上場企業の経理部へ転職するとともに同時に株式会社Liberaizeを立ち上げる。 決算・開示支援をメインに活躍中。
1.キャリア概要、独立の経緯
――キャリア概要、独立を決めた背景や思いをお聞かせください。
(高橋氏)
私は2015年に公認会計士試験に合格し、翌年あずさ監査法人の横浜事務所に入所しました。約3年間、会社法監査や金商法監査に携わり、実務経験を積んできました。独立については漠然と考えていたものの、その前に一度経理の現場を経験しておきたいと思い、一部上場企業の経理部に転職し、1年半ほど勤務しました。そのタイミングで自分の会社も設立しました。
(佐々木氏)
私は大学卒業後、ベンチャー企業向けのウェブマーケティングに携わるエンジニア(SE)として働いていました。当時は会計とは全く関係のない分野でキャリアを進めていましたが、支援していたベンチャー企業に経理担当者がいなかったことから、たまたま持っていた簿記2級の資格を活かして経理のサポートをすることになりました。それがきっかけで大原学園で簿記1級の講座を受け始め、無事に1級を取得した後、次のステップとして公認会計士を目指すことにしました。
25歳で公認会計士試験に合格し、あずさ監査法人の横浜事務所に入所しました。新卒ではなかったので、早く経験を積みたいという気持ちが強く、特にベンチャー支援やIPOコンサルティングに大きな興味がありました。また、事業再生にも少し関心があり、いつかそちらの分野に転職しようと考えていました。
実は、大学時代に4年間学習塾の講師をアルバイトでしていたこともあり、いつか塾を起業したいという思いもありました。ただ、当時は自信が持てず、最終的にはベンチャー向けの小さなコンサルティング会社に入所しました。人に教えることが好きで、それはコンサルタントとしても活かせるスキルだと感じていたので、簿記を活かし、公認会計士の資格が一番の近道と考え、取得することにしました。その頃から、独立したいという願望は常に持っていました。
2.独立初期の状況
――独立へ至った経緯を教えてください。
(高橋氏)
実はあずさ監査法人を退所後、半年ほど会計の業務から離れ、宮古島のリゾートホテルで皿洗いのアルバイトをしていました。25歳の時に「好きな場所で働いてみたらどうなるか」と思い立ち、挑戦してみたのですが、今まで生きてきた世界とあまりに異なる環境で戸惑いました。それでも半年間全力で続けた結果、メンタルが鍛えられ、どんな困難にも耐えられる自信がつきました。その後、佐々木へ「自分たちの会社を作らないか」と声をかけて、現在に至ります。
(佐々木氏)
ちょうど4年目、2020年ごろにシニアポジションに昇進し、転職を考え始めていた頃に高橋と再会しました。監査法人で知り合って以来、高橋とは非常に仲が良く、将来の話を二人で語っているときもありました。ある時、高橋が「転職するか考えているなら、一緒に会社作ろう」と誘ってくれました。不安はありましたが、一度の人生、高橋と共にチャレンジする方が面白そうと思い、独立を決めました。
3.会計士.jobの活用状況
―独立後、会計士.jobに登録したきっかけを教えてください。
(高橋氏)
会社を立ち上げた当初から利用していました。佐々木と相談し、法人として会計士.jobに応募することにしました。多くの案件に応募し、経験を積むことを目的に、掲載されている案件に片っ端から挑戦していきました。当時は経理業務も並行して行っていたので、佐々木に日中の業務をお願いし、夜間に自分が対応する形でやりくりしていました。
独立してからの3年間は、会計士.jobが仕事の7割、その他の仕事が3割という割合で進めていました。しかし、依存しすぎるとリスクが高いと考え、徐々に直接の取引案件を増やすために営業活動を行い、現在では会計士.jobが占める割合は4割ほどです。
―会計士.jobで最初に取り組んだ案件は何でしたか。
(高橋氏)
1年目に収益認識基準の導入プロジェクト案件を紹介いただき、全力で取り組みました。結果として作成した成果物が高評価を受け、自信をつけることができました。
―会計士.jobを利用して良かった点を教えてください。
(高橋氏)
多くの経験を積めたことが一番のメリットです。様々な案件に挑戦することでノウハウを得ることができ、報酬もいただけるという非常にありがたい環境でした。
―改善してほしい点や欲しい情報はありますか。
(高橋氏)
応募した後、現在のステータスが分からないことがあります。募集終了後の選考段階や誰が担当しているのかが明確ではなく、キャンセルの連絡が来るまで次のスケジュールを組みづらいことがありました。また、未経験者向けの案件が少なく、応募する際の心理的ハードルが高いと感じました。
4.独立体験からの学び
――独立したからこそ体験できたこと、経験・失敗談から学んだことを、具体的にお聞かせください。
(1)キャッシュポイントの考え方が変わった
(佐々木氏)
考え方が大きく変わったのは、キャッシュポイントについてですね。正社員であれば収入源は基本的に1箇所ですが、起業すると非常勤であればどんな仕事でもできるので、収入の柔軟性が大きく広がります。1つの場所からの収入に頼るのではなく、複数の場所から仕事を受けていくという考え方に変わりました。「稼ぐ」ということにしっかりコミットするために、様々なキャッシュポイントを作っていくというアプローチを取りました。
(2)時間の自由度が変わった
(高橋氏)
時間の自由度は本当に大きいですね。例えば、名古屋で財務DDの案件をいただいている会社の方と飲みに行くために、「あ、明日名古屋に行こうか」という感じで気軽に予定を組むことができます。平日の時間も自分の思うままに使えるので、24時間を完全に自分でコントロールできるのは非常に大きな利点です。これはサラリーマン時代にはなかなか経験できなかったことですね。
(佐々木氏)
今はオンラインでミーティングができるので、時間・場所に縛られず、特定の案件があるから終日どこにも行かないということはあまりないですね。
5.将来の目標とビジョン
―今後の目標やビジョンについて教えてください。
(高橋氏)
少しずつ事業資金も貯まってきたので、興味のある事業にどんどん挑戦してみたいと思っています。特に沖縄でビジネスを展開することに興味があります。独立したからこそ、事業資金を自由に投資できるようになり、夢を追いかけることができるなと感じています。
具体的な年数の目標はまだ決めていませんが、やりたいことが見つかったらそれに向けて全力で取り組むつもりです。将来Barを始めたいと思い、今も実際にお店を探している最中ですが、なかなか候補が見つからないんですよね。
(佐々木氏)
不動産会社経由で良い物件が見つからないなら、いっそのことどこかのBarを買ってしまおうか、なんて考えています(笑)。
―会計以外の分野にも挑戦してみたいという考え方ですね。
(佐々木氏)
そうですね、私はどちらかというと飽きっぽい性格なんです。よく高橋に「最近、ちょっと飽きちゃった」と相談することがあります。
(高橋氏)
佐々木は特に、僕よりも飽きやすいですね。「会社がうまく回ってきたな」と思った頃に「成長が止まっていないか?」と彼から連絡が来るんです。もちろん、実際にはノウハウや経験値も増えて成長していますが、その刺激が新しいエネルギーにもなっています。ただ、新規事業を始めたことで資本金の100万円があっという間に消えてしまったこともありました。
(佐々木氏)
現在は独立して5年目になるので、四半期ごとの流れが体に染み込んできて、かなり安定的に仕事ができていますね。ただ一方、「成長が止まっているんじゃないか?」という不安は常に感じています。
6. これから独立を目指す方々へのメッセージ
――最後に独立を目指す公認会計士へメッセージとアドバイスをお願いします。
(1)迷っているなら、楽しそうな方をやってみる
(高橋氏)
「やりたいけど勇気が出ない」というのは、つまり「やりたい」という気持ちがあるということですよね。とりあえず一度やってみると、結果としてできるかどうかが分かります。私はその瞬間がとても好きです。一度でも挑戦すると、それだけで感触を確かめられますし、「1回やってみたから次はどうしようか」という、次のステップが見えてきます。やりたい気持ちがあるなら、とにかく一歩踏み出してみてほしいですね。
実際に私も、色々と調べて挑戦してみたことで、気づけば楽しくなり、どんどん新しいことにチャレンジしたくなりました。
(2)何のために自分が公認会計士資格を取ったのかをもう一度考えてみる
(佐々木氏)
例えば、「安定とは何か」「本当に会社に所属していることが安定なのか」ということをもう一度考え直してみるのも良いかもしれません。公認会計士という資格を持っている限り、独立しても仕事はあります。実際、外に出てみれば、会計士.jobをはじめとするプラットフォームもありますし、監査法人の非常勤として働くこともできるので、生計を立てることは十分可能です。
独立することに対して不安を感じる方も多いかもしれませんが、既に公認会計士の資格を持っているので、その点での心配は不要だと思います。もし、会社に所属し続けることが自分にとっての安定だと考えるのであれば、それも一つの選択です。しかし、独立して自分で事業を展開していくことが自分の理想であるなら、その道を進んでいくべきだと思います。
私自身は、キャッシュポイントを自分で作り出し、能動的に生活を切り開いていきたいタイプです。会社のために働き、会社から与えられる報酬だけで生活するという受動的な生活ではなく、「自分は何のために公認会計士の資格を取ったのか」をもう一度考え直してみることが大切だと思います。
(3)とにかく案件に応募しまくる
(高橋氏)
まずは、気になる案件があったらどんどん応募することです。応募することで、経験を積むチャンスが生まれ、それが次の機会に繋がっていきます。
インタビューを終えて
今回は株式会社Liberaize代表の高橋健太様、佐々木裕史様にお話を伺うことができました。
キャッシュポイントの考え方は独立時に変化する点として、すごく共感できます。と同時に、時間の活用方法も変わってくるため、それをどう自分らしいスタイルにもっていけるかがポイントかと思いますね。ありがとうございました。
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