【会計士インタビュー】「会計士としての挑戦と独立への道」— 経験者が語るリアルな独立のストーリー

今回はJ-SOXや内部管理体制構築支援等で活躍している高井さんにお越しいただきました。会計士.jobの活用方法や自分の叶えたいことに向けてどのように行動したか、色々聞かせていただきました。

高井公認会計士事務所 代表
高井 亮 様
28歳に公認会計士資格を取得し監査法人へ入所、その後ベンチャー企業でIPO準備等を経験に独立。
持ち前の英語力を活かし会計士.jobでは海外経理業務支援等の案件を担当しながら活躍中。
1.キャリア概要、独立の経緯
――これまでのキャリアについてお聞かせください。
(高井氏)
私のキャリアは監査法人から始まりました。監査法人では3年間、基本的な監査業務に従事していました。監査法人に所属していた当時、事業会社に出向する機会があり、そこで自分のキャリアの方向性を少しずつ模索し始めました。事業会社では主に、日本基準のホールディングスにて、開示業務やIFRSの準備といった経理の専門的な仕事を担当しました。そこでの4年間は非常に学びが多く、自分のスキルを広げることができたと思います。
その後、再び監査法人に戻ることになったのですが、今度はアドバイザリー部門での仕事を任されました。ここでは、IFRSのコンサル業務を1年ほど経験しました。このように、監査だけでなく、事業会社での実務経験やアドバイザリー業務の知識を積み重ね、幅広い業務に携わってきました。
再び出向先の事業会社に戻る際、実は監査法人よりも事業会社で働く方が自分に合っているのではないかと感じていました。事業会社では、子会社管理を担当し、より現場に近い業務に携わることで、経営に関わる視点を養うことができました。
その後、監査法人時代の先輩から「ベンチャー企業でCFOを探しているが、興味はあるか?」と声をかけてもらいました。ちょうどその頃、自分の将来について考えていた時期で、「ここで何か新しいことに挑戦してみよう」と思い、そのオファーを受けました。ただ、正直言って、そのベンチャー企業の文化や働き方は自分には合いませんでした。それでも、この経験が自分にとって独立を真剣に考えるきっかけになったと思います。
最終的に、もう一度ベンチャー企業にチャレンジしました。その会社は上場に成功しましたが、私は上場準備の段階で独立を決意しました。その理由は、当時すでに会社勤めに少し疲れていたこと、そしてベンチャー企業での過酷な働き方に限界を感じていたことです。独立の動機としては、「会社勤めを続けるよりも、もう少し自分のペースで働きたい」といった、ややネガティブなものだったかもしれませんが、今振り返れば、その選択は間違っていなかったと思っています。
――独立を決めた理由は何ですか?
(高井氏)
独立の一番の理由は、やはり「会社勤めに限界を感じた」ということですね。特にベンチャー企業にいた頃は、非常に長時間労働が続き、自分の体力や精神的な負担が増していくのを感じていました。また、プライベートでは結婚を控えており、将来的に家族との時間を大切にしたいという気持ちもありました。そういった背景があり、「自分で働き方をコントロールできる独立」という選択肢に自然と気持ちが向いたのだと思います。
独立に向けて、具体的な計画やビジョンがあったわけではなく、「何とかなるだろう」という感覚が強かったのも事実です。幸い、私には会計士という資格があり、それを活かして仕事ができるという自信もありました。結果的には、その自信が独立の大きな後押しになったと思います。
2.独立初期の状況
――独立当初はどのような状況だったのですか?
(高井氏)
独立当初は、以前勤めていたベンチャー企業がまだ上場準備中だったため、そのまま業務委託としてお手伝いを続けることができました。これは非常に幸運でしたね。私自身も「独立後すぐに何をすべきか」という明確なプランがあったわけではなかったので、従業員から業務委託に切り替える形での仕事は、独立をスムーズに進める上で大きな助けとなりました。
その後、約2年間、その会社との業務委託がメインとなり、独立したからといってすぐに新しいクライアントを探す必要がなかったため、独立後の最初の数年間は比較的安定していたと言えます。
――他に仕事はありましたか?
(高井氏)
上場準備の仕事がメインではありましたが、それ以外にも決算のお手伝いの仕事を引き受けていました。特に、会計士.jobや他のプラットフォームを通じて案件を獲得しており、複数の会社の決算支援を行うことができました。また、勤務時代の監査法人とも引き続き業務委託契約を結んでおり、非常勤監査ではなくアドバイザリー部門の仕事を中心に受けていました。こうして、多様な案件に取り組むことで、独立後も幅広い経験を積むことができたのです。

3.会計士.jobの活用状況
――独立後、会計士.jobをどのように活用されていますか?
(高井氏)
会計士.jobを知ったきっかけは、実は妻なんです。彼女がネットで「こんなサービスがあるよ」と見つけてきてくれて、試しに登録してみることにしました。それまでは別のプラットフォームも利用していましたが、会計士.jobの方が案件が多く、案件獲得がしやすかったので、そこから積極的に活用しています。
登録してからは、決算業務や上場準備に関する案件を中心に受けてきました。会計士.jobは、私のような独立した専門職にとって非常に使い勝手が良いと感じています。特に、会計士.jobの仕事は、実行すべきタスクが明確なので何時どの程度の業務が発生するか予見しやすく、働く時期や、働き方をコントロールしやすい点も魅力的ですね。独立後、どのように仕事を探すかが一番の課題でしたが、このサービスを通じて、しっかりとした案件を受けることができるのは本当にありがたいです。
――登録後にどういった仕事が見つかりましたか?
(高井氏)
具体的には、連結決算や開示業務といった、私がこれまでのキャリアで培ってきたスキルを活かせる案件が多かったです。特にホールディングスで連結業務を担当していた経験が評価され、企業の決算をサポートする仕事が多く舞い込みました。業務委託として仕事を受ける際、クライアントとの関係も非常にスムーズに進むことが多く、業務内容が明確に決まっているため、余計なストレスを感じることが少ないのも助かっています。
4.独立体験からの学び
――独立してみて学んだことや感じたことがあれば教えてください。
(高井氏)
独立して最初に感じたのは、やはり「仕事の波がある」ということですね。独立していると、忙しい時期とそうでない時期の差が激しく、忙しい時期は本当に時間が足りないくらいですが、逆に仕事が少ない時期には「どうしよう」と思うこともあります。独立後の2年間は運良く仕事が途切れることなく続けられましたが、3年目に入ったとき、突然案件がなくなり、焦りを感じました。
また、独立してからは、何をすべきかが明確で、クライアントからのリクエストに応じて的確に動ける環境が整っています。一方、会社員時代は上司の意図がはっきりしないまま指示を受けることも多かったため、とまどうこともありました。独立して働くことの方が、自分にとっては性に合っていると感じます。
5.将来の目標とビジョン
――今後の目標について教えてください。
(高井氏)
現在、税務に興味を持ち始めています。会計業務そのものにはそれほど興味がないのですが、経営やビジネスを動かすことには非常に関心があります。税務はキャッシュフローや資金繰りにも関わるため、ビジネスに密接に結びついている分野です。また、資金調達や事業再生にも興味があります。将来的には、税務の知識を活かしつつ、コンサルティング業務を通じて企業の再生や承継をサポートできるような仕事をしたいと考えています。
6. これから独立を目指す方々へのメッセージ
――最後にこれから独立を目指す方々に向けて、メッセージがあればお願いします。
(高井氏)
独立してからの生活は、もちろん自由度が高くて魅力的ですが、その一方で不安定さも伴います。特に、収入の波があることは覚悟しておいた方が良いでしょう。私は幸運にも最初の数年間は順調に進みましたが、3年目には仕事が途切れることがあり、その時はかなり焦りました。
そのため、独立を考えている方には、できるだけ「これで食べていく」という明確なスキルや専門分野を決めてから独立することをお勧めします。自分が提供できる価値を明確にし、それを武器にすることで、安定した仕事を得やすくなります。また、私自身が会計士.jobのようなプラットフォームを活用しているように、独立後もサポートを受けられる環境を整えることが大切です。仕事がなくなった時に頼れるネットワークやプラットフォームがあると、精神的にも安心できます。
インタビューを終えて
今回は高井公認会計士事務所代表の高井亮様にお話を伺うことができました。
監査法人時代に監査業務やアドバイザリー業務、事業会社への出向、ベンチャー企業への転職など、多様なキャリアを積まれてきたものの、最初から独立やフリーランス志向を持っていたわけではない点が興味深いです。『自分で働き方をコントロールする』という言葉は、インタビューの中でも特に印象的なコメントでした。その一方で、『何とかなるだろう』という楽観的な感覚も、独立を考える方々に共通する思考の特徴の一つかもしれません。ありがとうございました。

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