【会計士インタビュー】「事業会社×会計士」——副業で広がるキャリアの可能性

今回は内部監査支援案件等で活躍している横塚さんにお越しいただきました。会計士.jobの活用方法や自分の叶えたいことに向けてどのように行動したか、色々聞かせていただきました。


横塚 貴将 様
事業会社でのキャリアを経て、一念発起で公認会計士資格を取得し大手監査法人へ入所。監査法人で2年監査業務の経験を積み、元々会社等組織が好きだったこともあり再度事業会社へ転職を果たす。現在監査法人での経験を活かしながら内部監査室へ所属し内部監査業務を担当しつつ、副業として会計士.jobでも案件を受注しながら活動している。
1. キャリア概要、独立の経緯
――これまでのキャリアについて教えてください。
(横塚氏)
私のキャリアは少し珍しい形で、大学卒業後は出版会社や大手不動産デベロッパーでマーケティングやディレクションの仕事をしていました。当初は会計士になろうとは思っていませんでしたが、中高生の頃から憧れはありました。30歳が近づくにつれ、挑戦したい気持ちが強くなり、働きながら試験に挑戦し、合格しました。
その後、監査経験を積むために大手監査法人に入所し、約2年間にわたって監査業務に従事しました。貴重な経験を積むことができましたが、もともと私は「会社という組織」で働くことに魅力を感じており、いつかは事業会社に戻りたいという思いを持ち続けていました。そんな中、ITメディア関連の事業会社からお声がけをいただき、転職を決意。現在はその会社の内部監査室に所属し、これまでの監査法人での経験を活かしながら業務に取り組んでいます。
監査法人での経験は貴重でしたが、特定のプロジェクトに関わる時間が限られ、クライアント企業との関係性が一過性になりがちでした。それに対し、事業会社では中長期的な視点で組織の成長に関与できる点が魅力でした。
――事業会社で働きながら、副業を始めたきっかけは?
(横塚氏)
一番の理由はスキルアップです。事業会社に勤めていると、どうしてもその会社独自の考え方ややり方に染まりがちです。他の会社の視点やベストプラクティスを知る機会を作るために、副業を始めました。
また、会社員として働いていると、健全なプレッシャーを感じる機会が少なくなりがちです。副業をすることで、自分自身の名前で仕事を受ける緊張感を持ち、成長につなげたいという思いもありました。実際に業務委託として案件を受けることで、企業ごとの異なる課題や組織文化を学び、柔軟な対応力も身についたと感じています。
2. 副業と本業のバランス
――副業をする上で、本業とのバランスはどのようにとっていますか?
(横塚氏)
本業に影響を与えないことを最優先しています。幸い、現在勤めている事業会社は副業に寛容ですが、それも「本業に支障がない」ことが前提です。日程調整やリソース管理には細心の注意を払っています。
リアルで訪問が必要な案件は特に調整が難しく、副業として受ける場合は「この日程で対応できるか」など慎重に確認しています。
――副業をする上での苦労はありますか?
(横塚氏)
一番の苦労は日程調整ですね。本業がなければもっと効率よく予定を組めるのに……と思うこともあります。特に訪問が必要な案件では、急なスケジュール変更があると対応が難しくなることがあります。ただ、それも仕方ないと割り切りつつ、無理のない範囲で対応するようにしています。
また、副業をすることでクライアントとの関係構築の難しさも感じることがあります。本業ではチームとして働きますが、私が会計士.jobで請け負っている案件でも、担当マネージャーとチームで対応しているものの、手を動かす作業としては個人での対応が求められるため、信頼を得るまでのハードルが高いと感じることもあります。しかし、それもまた経験となり、自分のスキルアップにつながると考えています。
3. 会計士.jobの活用状況
――会計士.jobをどのように活用していますか?
(横塚氏)
最初の案件は、サイトでの応募ではなく、マネージャーさんから直接声をかけていただいた形でした。当初は自分で案件を探していたのですが、最近はお繋がり・ご紹介で声をかけていただくことが多いため、正直あまりサイトを見ていませんでした。ただ、改めて閲覧すると面白い案件が多く、今後は積極的に活用したいと思っています。
――副業を考えている会計士は多いと思いますが、副業に対する心理的ハードルで何か感じることはありますか?
(横塚氏)
周囲の会計士にも副業を考えている人は多いですが、「本当に本業と両立できるのか?」という心理的ハードルがあるようです。特に監査法人や事業会社で安定した環境にいると、不安定な業務委託で働くことへの不安が大きいようです。
4. 副業で得られた学びと成長

――副業を通じて学んだことはありますか?
(横塚氏)
副業を経験する中で、仕事の進め方の難しさを改めて実感しました。 ある案件では、担当者の方が文書の表現や表の作り方に至るまで強いこだわりを持っておられ、その細かな要望に対応するのに苦労したことを覚えています。
この経験を通じて、「事前の要件確認の重要性」や「ルールの明確化がもたらすスムーズな進行」の大切さを、あらためて学ぶことができました。
5. 将来の目標とビジョン
――今後の目標やビジョンについて教えてください。
(横塚氏)
会社全体の情報の流れを俯瞰しながら、ガバナンスや内部統制の設計を行えることが、私の強みだと考えています。今後はこの強みをさらに磨き上げ、企業に対してより高い価値を提供できるよう努めていきたいと思っています。
現時点で独立は視野に入れていませんが、仮に将来的に独立することになった場合でも通用する、普遍的なスキルや専門性を身につけることを目標としています。
6. 今後のキャリアに迷われている方々へのメッセージ
――事業会社で働きながら副業を考えている人へのアドバイスをお願いします。
(横塚氏)
もし副業が許可されている環境であれば、ぜひ一歩踏み出してみてほしいと思います。最初は不安を感じるかもしれませんが、実際にやってみると、多くのことは何とかなるものです。また、思っているほど周囲は他人の副業を気にしていないことが多く、必要以上に構える必要はないと感じました。自分の成長や視野を広げるチャンスとして、前向きにチャレンジすることをおすすめします。
――監査法人勤務でキャリアに悩んでいる人へのアドバイスもお願いします。
(横塚氏)
監査法人での経験は非常に貴重ですが、一方で制約の多い環境でもあります。たとえば、副業の禁止や株式投資の制限など、自由度の低さを感じる場面もありました。
監査の道を極めたいという思いがあるのであれば、そのまま法人に残る選択ももちろん良いと思います。ただ、もし他の世界を見てみたいという気持ちがあるなら、思い切って外に出てみるのもひとつの選択肢です。
公認会計士の資格は「プラチナパスポート」とも言われ、外に出た後でもまた戻ることができる安心感があります。あまり思い悩まず、自分の興味や直感を信じて、新しい環境に飛び込んでみるのも良いのではないでしょうか。
まとめ
横塚さんのインタビューを通じて、副業やキャリアの選択に対する柔軟で前向きな姿勢が印象に残りました。監査法人での経験を土台に、自らの強みを見極めて挑戦を続ける姿は、同じようにキャリアに悩む方への力強いメッセージになると感じます。資格にとらわれず、自分らしい働き方を模索する姿勢が、今後のキャリアに迷われる多くの方にとってヒントになると思いました。

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