【会計士インタビュー】税務だけじゃない。50代会計士が見つけた独立キャリア

「50歳を目前に、残りのキャリアをどう過ごすか」
会計士でなくても多くの人が一度は悩むテーマです。
今回ご紹介する芝亨さんもその一人。監査法人と事業会社で豊富な経験を積みながら、49歳で「このままでいいのか」と自問し、50歳で独立を決断しました。
独立を考える会計士の中には、
「ミドルシニアで独立したいが、税務ができなければ案件は取れないのでは?」
「独立前にどのような準備をしておくべきか?」
といった不安や疑問を抱く方も少なくありません。
本記事では、芝さんのこれまでの歩み、独立を決めた背景、独立初期の実情、そして「会計士.job」を通じてどのように案件を得てきたのか、さらに今後の展望について伺います。独立を考える会計士にとって、多くのヒントが詰まった内容です。


芝亨 様
大手建設会社を経て公認会計士に。
あずさ監査法人で17年勤務後、上場企業の経理マネージャーとして決算実務や収益認識会計 基準導入PJ等を主導。
2023年に独立し、会計士.jobを活用しながら有報等の 作成や開示支援案件に従事、会計の専門性を武器に活躍中。
1. 50歳からのキャリア再構築――独立を選んだ理由
――これまでのキャリアについて教えてください。
(芝氏)
私は大学では経営学を専攻しながらも、簿記や会計にはほとんど触れることがありませんでした。新卒で入社したのは大手建設会社。そこで理系社員が大半を占める職場環境のなかで財務や経理の人材が強く重宝されている現実を目の当たりにし、「自分も会計の専門性を身につけたい」と考え始めました。
思い切って会社を退職し、公認会計士試験に挑戦。合格後は大手監査法人に入所し、上場企業の財務諸表監査や内部統制監査(米国SOX法監査含む) 、財務デューデリジェンス、IFRSアドバイザリー といった業務に従事しました。特筆すべきは、2015年から2年間、東京で大規模監査法人立ち上げプロジェクトに出向で参画したこと。監査品質管理の浸透を担いましたが、各大手監査法人からの出向者とのコミュニケーションを通じて、各監査法人の品質管理の考え方の違いを肌で感じる貴重な経験を積みました。
その後も監査業務に従事しつつ、入所から 17年が経過。「チェックはできても、財務諸表を自ら作ったことがない。これで会計の専門家と言えるのか」という疑問が芽生え、2019年に一般事業会社の経理部門へ転職します。そこでは連結決算、開示資料の作成、収益認識基準導入プロジェクト、経理部の業務改善など、まさに“作る側”としての会計実務を幅広く経験しました。
――独立しようと思ったきっかけは?
(芝氏)
転機となったのは49歳、50歳を目前にした頃です。監査法人、事業会社と組織に属して働いてきた一方で、「残りのキャリアは一国一城の主として挑戦したい」という思いが強まりました。
ただし独立には迷いもありました。周囲の独立会計士の多くは税理士登録をして税務業務を中心に据え、監査法人の非常勤を組み合わせているパターンが主流。「自分は税務をやりたいわけではない。独立しても会計士として会計の仕事で勝負できるのだろうか」という不安がありました。
そんな時に出会ったのが「会計士.job」です。アドバイザリー業務や経理支援案件を独立会計士でも受注できる仕組みを知り、「これなら自分の経験を活かせる」と決意。2022年末に事業会社を退職し、2023年1月から独立をスタートしました。
2. 独立初期から案件獲得できた理由――監査と経理の経験が武器に
――独立初期状況を教えてください
(芝氏)
「独立初期は案件獲得に苦労する」というのが一般的なイメージですが、私の場合は少し異なりました。独立してすぐ「会計士.job」経由で大規模案件にアサイン。上場企業の経理管理職が退職するタイミングで、財務諸表の作成と引き継ぎマニュアル作成を急ぎで依頼されたのです。独立直後から案件を得られたのは、監査でのチェック経験に加え、経理で「自分の手を動かす実務」を積んでいたからでしょう。独立したてで予定が空いていたというのもあります。
平日はほぼクライアント先に常駐し、実務を進めながら体制整備も同時に実行。やがて経理実務担当者の退職も重なり、追加メンバー2名と共に一年間フル稼働するプロジェクトとなりました。案件獲得の苦労というより、とにかく走り続けた一年でした。案件に恵まれました。
この経験で高く評価されたのは、監査法人と事業会社双方でのキャリア。形式的に資料を作るのではなく「この処理は正しいのか?」と問い直し、改善提案まで行える点がクライアントに信頼された理由でした。
3. 案件獲得の心強い味方、会計士.job
――会計士.jobの活用 ― 成功につながったポイントは?
(芝氏)
私にとって「会計士.job」は、独立初期から安定的に案件を得る上で欠かせない存在でした。特にブリッジに登録すれば案件を得るチャンスがある点は大きな安心材料だったといえます。
また、独立前から意識して「実際に手を動かす力」を磨いていたことも成功要因でした。経理マネージャーとしてチェック業務が中心だった時期も、あえて注記情報の作成やシステム入力を自ら経験。XBRLタグ付けや収益認識基準対応など、現場感覚を身につけていたことが、独立後の即戦力性につながりました。
独立してから成果物を納品するのは全て自分。だからこそ、手を動かせることが何より大事です。
4. 独立後に感じた自由と後悔していること

――独立されてから学んだことや、失敗から得た教訓を教えてください。
(芝氏)
独立したことで、自分の裁量で仕事を進められるようになり、仕事とプライベートのバランスが取りやすくなりました。また、会社員時代には自社組織の利害も考慮せざるを得ず、必ずしもクライアント第一で動けない場面もありましたが、今はクライアントへの貢献を最優先にできることが大きなやりがいにつながっています。
一方で、振り返って後悔しているのはIPO案件の経験を本格的に積まなかったことです。IPO支援は需要が高く、独立後の案件獲得に直結する分野です。今思えば、監査法人時代にもっと積極的に関わっておけばよかったと感じています。IPOのようにキャリアの選択肢を広げられる経験は、独立を考える会計士にとって間違いなく強い武器になるでしょう。
5. 税務だけじゃない。 “会計”で勝負できる
――今後のキャリアの展望は?
(芝氏)
現在は中規模案件を中心に、決算開示など強みを活かした支援を継続中です。今後は案件の幅を広げつつ、より専門性を高めていくことを目指しています。
また、「独立会計士は税務だけではない。会計の専門性を武器にしたキャリアも十分に築ける」と示すことで、次世代の会計士にも選択肢を広げていきたいです。
6. これから独立を目指す方々へのメッセージ
――独立を考えている人に向けてアドバイスをお願いします。
(芝氏)
独立を考えるとき、不安がゼロになることはありません。私自身も同じでしたが、「会計士であれば必ず何とかなる」という気持ちが背中を押してくれました。大切なのは、チェック業務だけでなく、自ら手を動かす経験を積んでおくこと。そうして培った実務力が、独立後の大きな武器になります。市場には必ず需要があります。あとは勇気を持って一歩を踏み出せるかどうかです。
インタビューを終えて
芝さんは、監査で得たチェック力と、事業会社で培った実務力を融合させたからこそ、独立後すぐに成果を出せたのでしょう。「独立=税務」という固定観念にとらわれず、会計の専門性を軸にしたキャリアの可能性を示す好例です。
50代でキャリアを変えるのは決して遅くありません。
むしろ、これまでの経験やご自身の強みをどう組み合わせるかが独立後の武器になります。
芝さんのように「まずは自分の手を動かす経験を重ねる」ことが、経理領域で独立キャリアを成功させる第一歩になると改めて感じました。

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