公認会計士の独立に関する実態調査レポート 2026-独立後のキャリア戦略-
「会計士.job」では、自社サービス登録者である公認会計士154名を対象にアンケート調査を実施しました。
本調査は、独立公認会計士の実態を明らかにすることで、独立を検討されている方や、独立後のキャリア形成に励む方々へ有益な示唆を提供することを目的としています。
今回は、特に「独立会計士の年収とキャリア戦略」に焦点を当て、その結果を紹介します。
目的
独立公認会計士の現状を可視化し、独立を志向する会計士、および独立後のキャリアパスを模索する会計士にとっての指針を提示することを目的としています。
調査概要
調査期間
2025年12月3日-2026年2月20日
調査方法
インターネット調査(会計士.job独自アンケート調査)
調査対象者
会計士.jobに登録済みの公認会計士、154名。
そのうち、「現在独立している」と回答した147名の有効回答に基づき、集計・分析を行いました。
調査対象者属性
性別
性別は男性が91.2%、女性が8.8%と、男性が圧倒的な人数を占めています。(図1)
年齢分布
40代をボリュームゾーン(中心層)としつつ、30代がそれに続く構成となっています。(図2)
監査法人での経験年数
監査法人での経験年数は10年以上の方をボリュームゾーンとしつつ、4~6年、7~9年がそれに続く構成となってます。(図3)
エグゼクティブ・サマリー
高満足度・収入UPの実現: 独立した会計士の約6割が年収UPを実現。約8割がワークライフバランスに満足しています。
「満足・年収UPグループ」の共通点: 収入増と満足度を両立している層は、共通して独立前から「人脈作り・ネットワーク構築」を重要視していました。
魔の半年: 独立直後の半年間は約4割が「厳しかった」と回答。独立前にためた貯金をセーフティネットとして活用して乗り切っている方が多く見受けられました。
独立の好機: 「経験年数」と「高満足度・高年収」の相関関係は確認できませんでした。若手での独立であっても、十分に仕事を軌道に乗せることが可能であることが示唆されます。
1. 独立後のリアル:収入と幸福度はどう変わる?
多くの会計士が抱く「収入減少」への不安に対し、データはポジティブな結果を示しています。
回答者の49.3%が「大幅に増えた(+30%以上)」17.8%が「やや増えた」と回答。合わせると約7割が収入UPを実現。(図4)
独立後のワークライフバランスに関しては、46.9%が「満足している」、39.5%が「やや満足している」と回答。(図5)
全体の8割が満足していることがわかります。
このことから、独立は単なる「キャリアチェンジ」ではなく、「人生の質」を向上させる選択と言えます。
2. 「成功している会計士」の共通行動
年収UPと高い満足度を両立する「満足・年収UPグループ(85名)」(※)の行動には、明確な特徴がありました。
この章では、調査データをもとにその具体的な特徴と共通点を解説していきます。
※満足・年収UPグループ=年収が「大幅に増えた」「やや増えた」と回答している層の中で、独立後のワークライフバランスを「満足している」「やや満足している」と回答した層
独立前の準備
「満足・年収UPグループ」の中で何らかの準備をしたと回答したのは67.1%(57人)。(図6)
次に、「何らかの準備をした」層の具体的な特徴と共通点を解説していきます。
この層の中で最も多く行われた準備は「人脈作り・ネットワーク構築(同業者、クライアント候補との関係構築)」であり、30.7%が実施していました。(図7)
「満足・年収UPグループ」が独立後に「もっと準備しておけばよかったこと」でも62.4%が「人脈作り・ネットワーク構築」と回答していることからも、人脈の重要性が一貫して示されています。(図8)
とはいえ、ゼロから人脈を築くことには難しさを感じる方も多いのではないでしょうか。
「会計士.job」をご活用いただければ、自ら営業活動を行う負担なく、ご自身のスキルや志向に合致した案件へ直接アプローチが可能です。
「営業活動は苦手だけれど、自分に合う仕事を探したい」という方のサポートをさせていただきます。
会計士.job
独立後の業務内容
「現在(独立後)の主な業務は?(複数選択、記述回答あり)」という項目では、「経理支援・記帳代行」が20.4%。次いで「税務業務」が18.3%でした。(図9)
特定の業務に特化するというよりも、複数の業務を柔軟に組み合わせている方が多い傾向にあります。 それでは、具体的な業務の兼務状況について詳しく見ていきましょう。
84.7%が複数種類の業務を掛け持ちしており、3種類以上の掛け持ちが35.3%となっています。(図10)
一つの業務への依存を避け、複数種類の業務を組み合わせた複合型の収益構造を作っている方が多いことがわかります。
では、具体的にはどのような業務を組み合わせている方が多いのでしょうか。
主な業務の兼務状況:上位ランキング
1位:監査業務(上場企業・非上場)+経理支援・記帳代行+税務業務 9人
2位:経理支援・記帳代行+税務業務 6人
2位:IPOコンサル+内部統制支援+経理支援・記帳代行 6人
4位:監査業務(上場企業・非上場)+税務業務 5人
4位:IPOコンサル+内部統制支援+監査業務(上場企業・非上場)+経理支援・記帳代行+税務業務 5人
4位:内部統制支援+監査業務(上場企業・非上場)5人
7位:IPOコンサル+内部統制支援 4人
7位:内部統制支援+監査業務(上場企業・非上場)+経理支援・記帳代行+税務業務 4人
特に「経理支援・記帳代行+税務業務」という組み合わせが安定収入の土台となり、そこに「監査・IPO・内部統制」などの高単価案件を掛け合わせることで収入とワークライフバランスを同時に実現していると読み取れます。
3. 「魔の半年(最初の半年)」の生存戦略
独立直後の案件獲得状況に関して、約6割が「非常に順調(十分な案件が安定的にあった)」「まあまあ順調(案件はあったが不安定な時期もあった)」と回答。
一方で、約4割が「厳しかった(案件の獲得が難しく、不安定だった)」「非常に厳しかった(ほとんど案件が取れず、収入も不安定だった)」と回答しています。(図11)
では、「厳しかった」と回答した方は最初の半年間をどのように乗り越えたのでしょうか。
過半数(57.5%)が「独立前の貯金を活用」して乗り切っています。(図12)半年〜1年分の生活費の蓄えが、経済的支柱となることが多いです。
また、非常勤監査や知人のヘルプなど、「確実に現金が入る仕事」を確保しておくと安心です。こうした機会は、事前の人脈形成があってこそ得られるものです。独立において、信頼に基づいたネットワークがいかに重要であるかが分かります。
「もっと営業経験や、会計以外の知識(税務・法務)を深めておくべきだった」という声もありました。
独立後は、公認会計士としての専門実務だけでなく、多角的な役割を担うことが求められます。 こうした周辺知識を事前に習得しておくことも、独立初期の不安定な時期を支える力になるでしょう。
4. データで見る「独立のベストタイミング」
どの経験年数で独立しても、平均して約400万円~500万円ほど年収が上昇しています。(図13)
「~3年」という早期の独立であっても平均年収が948.7万円から1342.9万円へと上がっていることがわかります。
また、監査法人での経験が長いほど、独立後の到達年収も高くなる傾向があります。
全体として年収が一律で上昇しているのと並行し、満足度についても総じて向上が見受けられます。 (図14)
特に「~3年」の層で、経験が浅い段階での独立でありながら、9割以上が満足を感じています。
他年代では一定数存在する「独立前と変わらない」という回答がこの層では「0%」となっており、高い充足感を得ていることが分かります。
また、本調査の最大母数である「10年以上」の層においても、全体的な満足度の向上がみられます。
一方で「4~6年」の層は、満足度は向上しているものの、他層に比べると「満足」より「やや満足」の割合が大幅に高く、平均年収の伸び率も相対的に緩やかです。
これらのデータからは、経験年数と満足度・年収増の明確な相関は見出せませんでしたが、全体的に年収・満足度ともに右肩上がりの傾向にあるため、事前の準備を丁寧に行うことで、どのタイミングであっても納得のいく独立を実現できる可能性が高いです。
今回の調査では独立は年収UPと満足度向上の強力な手段となっています。経験年数が短くても独立後の成功は十分に可能でしょう。
5. 独立で成功するために
独立会計士としてのキャリアを成功させるためには、複数の専門知識と実務能力、経済基盤、そしてネットワークの3要素をバランスよく整えることが不可欠です。
第一に、「+α」の専門性を加えることです。1つの業務だけではなく、複数種類の業務を掛け持ちする独立会計士が多いことからも、監査業務のみに依存するのではなく、自身のビジョンに沿った独自の強みを磨くことが肝要です。
第二に、「半年分の生活費」の確保を推奨します。確固たる経済的基盤があるからこそ、目先の生活に追われることなく、真に望むキャリア形成に専念できる環境が整います。
最後にお伝えしたいのは、人脈の重要性です。監査法人時代に築いた信頼関係は、独立後、何物にも代えがたい貴重な財産となります。 とはいえ、自力で一からネットワークを広げることに不安を感じる方や、営業活動に不慣れな方もいらっしゃるかもしれません。
「会計士.job」なら、広範な人脈がなくとも、ご自身の希望に合う案件へ直接応募が可能です。さらに、条件を登録しておくだけであなたに合った案件のスカウトが届くチャンスもあります。
会計士.job
今回は、独立会計士を取り巻く現状と実態について分析いたしました。「会計士.job」では、今後も会計士の皆様のキャリア形成に役立つ情報を継続的に発信してまいります。本レポートが、皆様の新たな挑戦を後押しする一助となれば幸いです。
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