今、監査法人にお勤めの方であれば、一度は思い描いたことがあるのではないでしょうか。
明確な答えがなく、十人十色。実際に多くの女性会計士の話を伺うと、十色どころか、百色くらいあるようにも思えます。人によってキャリアプランやライフイベントは様々ですので、誰かの一時の意見が必ずしもご自身に当てはまるものではないかもしれません。


 そのため、本コラムでは、「いつまで監査法人に勤める?」と考えたときの、ご自身で結論を導き出すまでの指針をご紹介します。悩んだときの道しるべとなれば幸いです。

①  人生の中で、公認会計士としてどのように生きていきたいか

② 監査法人で経験しそびれたことはないか

③ 監査法人を退職したあとの人生が今以上に幸せであると想像できるか

① 人生の中で、公認会計士としてどのように生きていきたいか

このサイトをご覧の皆さまは、少なくとも公認会計士としての仕事をしたいと考えていると思います。監査法人に勤めていると、職位や責任は変わっていくものの、主に監査業務や会計アドバイザリー業務に従事することが多いといえるでしょう。
公認会計士としてのキャリアプランを考える中で、監査法人の主要業務以外の分野で活躍したいという意思があるならば、監査法人を退職するひとつのタイミングとなると思います。たとえば独立開業を見据えて税務の分野で活躍したいと思うなら税理士法人や会計事務所へ、経理業務・内部監査業務等で安定的に働きたいと思うなら事業会社へ、それぞれの経験を積むことができる場所は必ずあります。

② 監査法人で経験しそびれたことはないか

監査法人は、多くの会計士の仲間とともに多くの実務経験ができる場所です。法人の情報収集体制やバックアップ体制が整った中での高品質な業務、大人数のチームをまとめあげる現場責任者や管理職の経験、能力や希望に応じて海外出張や海外駐在ができるチャンスもある、などの環境は監査法人ならではのものです。
監査法人で経験してみたかったことは十分にやり遂げた、と思えたときは、監査法人を退職するひとつのタイミングとなることでしょう。

③ 監査法人を退職したあとの人生が今以上に幸せであると想像できるか

仕事を選ぶということは人生を選ぶことでもあります。監査法人を退職したあとの気持ちは実際に退職してみないとわからないことではありますが、その選択があなたの人生に幸せをもたらすものであってほしいと思います。
ほかに携わってみたい仕事がある、仕事より家庭のサポートをしたい、など、積極的な理由で監査法人を退職したならば、きっと後悔はないでしょう。しかし、特に明確な希望やビジョンを持たないまま、現実を一旦リセットするためだけに退職を決意することはおすすめしません。その後に待ち受ける人生が今以上に幸せでないと退職する意味は薄れてしまいます。監査法人は比較的お給料が高いため、監査法人並みの収入を維持するためには、監査法人以上に働く時間や責任が増えることが一般的です。


心ゆたかな人生を送るためには収入・仕事内容などバランスよく満足できる選択であることが大切だと考えます。「この決断で幸せになれるか」という軸でも考えてみてはいかがでしょうか。