公認会計士による新規上場企業の財務分析【株式会社クロスフォー】

公認会計士の視点から、今注目の新規上場企業を紹介し、財務分析を行います。
新しいジュエリーを創造することにより世界中の女性に驚きと幸福を与えることを企業使命とし国内外向けにジュエリー事業を展開する株式会社クロスフォーについて、企業分析を行いました。
平成24年7月期から平成28年7月期(以下、「当期」)までの財務情報を用いて、公認会計士の視点から財務分析を行いました。
会計士の5期間財務分析
新しいジュエリーを創造することにより世界中の女性に驚きと幸福を与えることを企業使命とし国内外向けにジュエリー事業を展開する株式会社クロスフォーについて、企業分析を行いました。
会社名 | 株式会社クロスフォー |
証券コード | 7810 |
市場 | JASDAQ(上場日:2017年7月20日) |
業種 | その他製品 |
事業内容 | ジュエリー・アクセサリーの開発・製造・販売 |
設立 | 1987年8月(創業は1980年8月) |
従業員数 | 82名(平成29年5月31日現在) ※連結ベース |
代表取締役社長 | 土橋 秀位(63歳) ※2017/8/4現在 |
事業戦略 | 特許技術「Dancing Stone」(※)を用いて、国内向けジュエリー・アクセサリー製品の製造販売、および海外向けパーツの製造販売 (※)「Dancing Stone」は、ダイヤモンドなどの宝石をぶら下げるネックレス等で、宝石に穴をあけることなく、着用した人のわずかな動きを利用し宝石を揺らし輝かせることのできる技術。同社が2010年に開発し、2013年12月に日本で特許取得。その後、米国、中国、カナダ、オーストラリア、欧州、韓国、台湾、ロシアで同様に特許取得済み。 |
会計士の5期間財務分析
売上推移
- 過去5年間の売上高は一貫して増加を続け、CAGR(年平均成長率)は41.08%です。
- ジュエリー事業の単一セグメントで展開しており、国内向けは、主に、宝飾品の卸・小売業者からのOEM受注により、受注先各社のブランドのジュエリー・アクセサリー製品を、特許技術を用いて製造販売しております。製造は、外注工場へ委託しており、宝石・貴金属等の資材は、基本的に、外注先が調達します。
- 国内と比べ市場規模や発注単位の大きい海外向けは、職人の手作業を必要とする宝飾品の製造ではなく、機械化による大量生産が可能なパーツを、特許技術を用いて製造販売しております。合わせて、海外の宝飾品メーカーにて特許技術が適切に使用されるよう、製造ノウハウの提供と製品の品質管理を行っております。
- 特に2014年の消費増税以降、国内の個人消費が低迷し市場規模の縮小と低単価傾向が続く中、市場規模が拡大傾向にある中国を中心に海外売上比率を増やすことで、安定的に成長を続けております(世界のジュエリー市場規模|2013年:25兆円→2020年:50兆円、経産省公表資料より)。
会社の利益構造
- 売上ベースで全体の32%を占める海外向けパーツ販売が、利益ベースでは約半分を占める状況です。
- 当期の売上原価率は53%で、そのうち約6割が材料費、約4割が外注費となっております。原材料は市場動向や為替レートなど外部要因の影響を受けやすく、販売単価にその全てを転嫁することはできません。一方で、国内では設備を持たず外注中心の体制とし、海外ではパーツ販売に特許資料料を含めることで、営業利益率24%と高い収益性を維持しております。
- 国内・海外とも新規開拓に注力した結果、売上高が伸びた一方で、人件費の増加や円高による為替差損が発生し、また、関係会社の整理に伴う特別損失の計上により、当期利益は、前期比▲14.9%となりました。
- なお、関係会社整理損は、タイに保有していた非連結子会社向け債権の放棄と同社株式の売却損であり、この一過性の損失が利益を大きく押し下げました。
会社の資本構成
- 当期のROE(自己資本利益率)は36.3%で、自己資本比率は33.4%となっています。
PER(予想株価収益率)
- 平成28年7月期の1株あたり純利益は54円です。ジャスダック上場の中型案件として想定発行価格720円(PER13.3倍)となっていたところ、1,051円(PER19.4倍)の初値をつけ、8月4日終値は1,200円(PER22.18倍)です。
企業価値に影響を与える外部的要因
- 特許技術「Dancing Stone」を利用した製品・パーツ販売が売上の96%を占める中、当特許期間が2033年に満了します。また、海外売上比率の向上を目指す中、為替変動リスクや、各国の法令、制度・規制、政治・社会情勢等のリスク、模倣品リスク、および原材料の市場動向が、同社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

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