保険料(P)と保険金(S)の違いを押さえる

○具体的な話に入る前に、生命保険用語のうち、会計士でも意外と正しく理解されていないことの多い基本的な用語について、説明させていただきます。

○保険契約において、登場するのは、「(保険)契約者」、「被保険者」、「(保険金)受取人」の3者です。

 契約者:保険会社と保険契約を結び、契約上の権利(契約内容の変更や解約等の請求権)と義務(保険料支払義務)を持つ法人・個人のことです。今回ご紹介するのは決算対策のための生命保険ゆえ、どの種類の保険商品を使う場合でも、決算対策を希望される法人が契約者となります。

 被保険者:生命保険の保障の対象となる個人のことです。今回ご紹介する決算対策では、基本的に、取締役など経営陣が被保険者となります。

 受取人:保険金を受け取る法人・個人のことです。今回ご紹介する決算対策では、基本的に、法人が受取人となります。

○誤った使われ方が多いのが、「保険料」と「保険金」です。

 保険料:契約者が保険会社に払い込むお金のことです。既にお気づきの通り、この保険料のうちいくらが税務上損金扱いとなるかが、決算対策のポイントの一つです。なお、保険料は英語で“Premium”ですので、保険会社や保険代理店の方は、保険料を「P」と表現します。保険料が年間100万円の保険契約であれば、「年P100万円の保険契約」と言います。

 保険金:生命保険に加入した状態で、被保険者が死亡・高度障害状態の時、または満期まで生存した時に保険会社から受取人に支払われるお金のことです。決算対策において、保険金は重要な役割を果たさないことが多いものの、必ず知っておくべき単語の一つです。なお、保険金は英語で“Sum insured”ですので、保険会社や保険代理店の方は、保険金を「S」と表現します。保険金1億円の保険契約であれば、「S1億円の保険契約」と言います。

○決算対策で非常に重要な役割を担うのが、「解約返戻金(ないし解約払戻金)」です。これは、保険期間の途中で、契約者が保険会社に申し出て、契約を将来に向かって消滅させる(=解約)等した場合に、保険会社から契約者に返還されるお金のことです。解約返戻金は英語で“Cash Value”ですので、保険会社や保険代理店の方は、契約返戻金を「CV」と表現します。また、契約者が解約時までに支払った保険料の総額に対する解約返戻金の割合を、(解約)返戻率と言います。