独立会計士の一般的な働き方は、オフィスを借りてスタッフを雇って、という会計事務所経営のタイプでしょうか。最近は、組織に所属するでもなく、誰かを雇うわけでもない、「ひとり会計士」のスタイルで働く女性も多く存在しています。  ひとり会計士は、自身が直接受注したお客様へのサービス提供のほか、空いた時間を使ってプロジェクト単位でアウトソースを引き受けるというスタイルの働き方もあります。

 ひとり会計士にとって何より大切なのは時間管理です。監査法人では、何か月先までも往査や研修、休暇の日などがシステム管理されていたと思います。ひとり会計士は、これらを自身で管理しなければなりません。そこで、世のひとり会計士が工夫している時間術をご紹介します。

◎日程とタスクのデジタル管理
 日程をデジタル管理するかアナログ管理するかは、好みが分かれると思います。筆者は、かつては紙の手帳派でしたが、独立開業後はGoogleカレンダーに移行しました。スケジュールの変更もよく起こりますし、細切れの予定が多いためです。事務所ではPC、出先ではスマホ、とデバイスを選ばない点も便利です。  アポイントの日程管理だけでなく、仕事の期日や進捗管理もGoogleカレンダー上で行っています。予定が入っていない時間帯でも、自分の時間の予約をするイメージです。たとえば、A社の書類作成、B社の申告書提出期限、C社へ資料依頼、等。
 このように管理することで、期日や集合時間に遅れる、ダブルブッキングしてしまう、という信頼関係に影響するミスを防ぐことができます。仕事の予定の他にも、移動が多い日には電車の時刻もあらかじめ入れておいたり(乗換検索アプリから転送できます)、別アカウントで管理されている家族の予定をシェアしたりしています。

◎お金で時間を買う
 ひとり会計士に限った話ではありませんが、既存の仕事に家事、育児、介護、と全て自身で対応していると、心の余裕や自分だけの時間がなくなりますし、新たな仕事のチャンスを逃してしまうかもしれません。そのため、家事にかかる時間をお金で解決することをおすすめします。
 たとえば、お掃除ロボットや食器洗浄機を活用する、乾燥機付洗濯機で衣類の乾燥まで行う、保温調理器で料理する、など最近は素晴らしい機能のもので楽になることが多く、一度使ってみると手放せません。他にも、年末の大掃除や日常的な家事でも必要に応じて代行業者さんに依頼する、アイロンがけが必要な服はクリーニング屋さんに出すことでも自身の時間が生まれます。家事が好きでその時間がむしろ息抜きになる、という方でなければ、機械や専門のサービスを頼ってみてはいかがでしょうか。

◎今すぐ実行する
 あとにしようと思って放っておいたことを再開しようとしたとき、思い出すことに時間を費やしたり、億劫になっていたり、機会を逸したりすることはありませんか。すぐに実行してしまえば、時間のロスは起こりません。 「今度機会があれば」「連絡が来てから対応しよう」ではなく、すぐにご挨拶のメールやお礼状を出す、打合せや会食の日程をすぐに決める、会議の議事録をすぐに作る、お客様からの宿題を早めに着手するなど、意思決定やアクションを早くするように心がけると決断力や行動力もつきますし、誠実で信頼できる人と思ってもらえたら次の仕事につながる可能性も広がります。

ひとり会計士にとっては、自身の時間そのものが報酬を生み出す原資です。時間をうまくコントロールし、自分だけのワークスタイルを組み立ててみてくださいね。