よく聞くトラブル
 決算対策の生命保険は、年払い保険料が数百万円から数千万円となる高額取引です。税務的なリスクを最大限に排除する必要がありますし、生命保険会社を相手に手続き上のミスも許されません。ここでは、保険契約におけるトラブルのうち、経験の浅い販売員がよく起こすものを2つ紹介します。

○保険金額の設定
・加入限度額については以前ご紹介した通りですが、複数名の取締役が被保険者となるケースでは、被保険者となる取締役の職位と保険金額との間に矛盾が生じないよう設計する必要があります。さもなければ、税務上のリスクが発生することがあります。

○スケジュール管理
・決算対策を目的に保険を利用する場合、多くの企業は、決算の直前になって具体的な検討を始め、決算日の数日前に加入されます。保険加入には、診査など時間のかかる手続きを必要とするケースが多いため、決算日までに全ての手続きが完了するよう計画的なスケジュール管理が重要です。保険会社やプロ代理店の営業担当者等は、毎年3月下旬になると多くの保険契約の対応に追われますが、プロフェッショナルは、そのような状況でも効率的に病院を手配するなどし、クライアントの要望に応えます。

最後に..
○会計士や税理士は、クライアント企業の経営にとって非常に重要な役割を担っており、常にプロフェッショナルとして最適なアドバイスを行うべき立場にあります。

○一方で、一部の事務所に限った話ですが、保険代理業務を行う会計士事務所や税理士事務所の中には、その保険商品がクライアントにとってベストな解決策ではない可能性を知りながら、あたかもベストな解決策のようにクライアントへ説明し手数料を稼ぐ事務所があります。ご存知の通り、悪い評判はすぐに広まる時代です。本コラムをご覧の皆様には、短期的な利益の追求ではなく、クライアントを最優先に考えるプロフェッショナルとなり、クライアントと長期的な信頼関係を築いて欲しいと願うばかりです。

以上