独立公認会計士のための営業戦略講座 Vol.2|はじめてのWebマーケティング実践ガイド

本コラムは、独立した公認会計士の方々に向けて営業戦略をテーマに連載形式でお届けするシリーズの第2回です。
独立後に安定した仕事を得るためには、紹介や人脈だけに頼らず、自らの専門性を発信し見つけてもらう工夫が必要です。中でもWebマーケティングは、営業に不安がある会計士にとって非常に有効な手段となります。
具体的には
- ・XやLinkedInなどのSNSを活用する
- ・noteやブログで深く掘り下げた解説をする
- ・専門性を伝えるための自身のホームページを持つ
などがあげられます。
第2弾では、はじめてWeb活用に取り組む方でも実践できる、基本的なステップと上記の具体的な活用法をご紹介します。
第1弾はこちら
なぜWebマーケティングが必要なのか?
紹介頼みの営業には限界がある
独立したばかりの公認会計士がまず頼るのが、前職時代の人脈や知人からの紹介です。もちろん、これは非常に有効な手段ですが、紹介を受けた方は、面談の前にホームページなどでその会計士がどのような人物かを確認しているケースがほとんどです。
そのため、自分自身を適切に紹介するためのホームページは、今や必須といえるでしょう。
また、中には紹介だけで案件を獲得している方もいらっしゃいますが、紹介に頼り切っていると、自ら新たなクライアントにアプローチできる範囲が限られてしまい、継続的に案件を獲得するのが難しくなる可能性があります。
自ら新規の入り口を作ることが、安定した事業運営において不可欠です。そこで活躍するのがWebマーケティングです。
Webマーケは営業が苦手な人にこそ向いている
営業というと「飛び込み」や「電話営業」といったイメージを持ちがちですが、Webマーケティングはまったく異なるアプローチです。SNSやホームページを活用すれば、自分の専門性や考え方を文字やコンテンツで伝えることができます。
話すのが苦手な人でも、書くことで伝えられる。しかも発信内容は24時間365日、あなたの代わりに働いてくれる営業窓口となるのです。
Webマーケティングを始める前にやるべき3つの準備
ターゲットを明確に
まずは「誰に向けて発信するか」を明確にしましょう。たとえば「IPO準備中のベンチャー企業のCFO」「スタートアップの経理担当」など、想定する対象によって発信する内容は大きく変わります。
「誰に、どんな支援ができるか」を言語化することが、Webマーケティングの出発点です。
自分の強みを棚卸しする
次に、自分がどのような専門性を持っていて、どんな経験を積んできたのかを整理しましょう。
同じ会計士であっても、得意分野や実績はさまざまです。他の独立会計士との差別化を図るためにも、「自分ならではの価値」を言語化することが大切です。
「見つけてもらえる導線」を設計する
プロフィール、ホームページ、SNS、相談フォームなど、クライアントがスムーズにあなたにたどり着ける導線を整えておきましょう。
どれだけ専門性が高くても、問い合わせまでの導線が曖昧だと機会損失につながります。しっかりと整えておくことが重要です。
実践編Webで信頼を築く3つの情報発信
SNS発信(X/LinkedInなど)
SNSは「まず始める」には最適なツールです。専門的な小ネタや実務に関するTips、日々の気づきなどを週1〜2回の頻度で投稿するだけでも、信頼の蓄積につながります。
X(旧Twitter)では会話型の発信、LinkedInではややフォーマルな投稿が効果的です。noteやブログでの深掘り投稿
SNSで関心を持った読者が次に見るのが、noteやブログなどの深いコンテンツです。
税制改正のポイントや業界トレンド、支援事例などを解説することで、「この人は信頼できる」という印象を与えることができます。検索にもヒットしやすく、長期的な資産になる発信手段です。専門性が伝わるホームページを持つ
あなたの「営業拠点」として機能するのがホームページです。経歴、実績、得意領域、相談フォームなど、情報を明確に整理しましょう。
会計士.jobを利用している 青柳 敏文さん もご自身のホームページを持っています。Web広告で見込み客を増やす
リスティング広告やSNS広告は、少額からでもスタートでき、狙ったターゲット層にリーチできます。ホームページやLP(ランディングページ)と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
マッチングサービスとの併用
マッチングサービスなどで実績を積み、ホームページに掲載できるような支援事例を作ることも大切です。そして、その支援実績をホームページ上で分かりやすく伝えることで、クライアントからの信頼を獲得できるようにすることを目指しましょう。
まずは実績を積み、ホームページに掲載できるような支援事例を作ることも大切です。動画やセミナーで“人柄と専門性”を伝える
Zoomでのミニセミナーや、YouTubeでの5分間解説動画、音声配信なども有効です。
特に「誰がやっているか」が重視される士業の世界では、人柄や話し方も信頼構築の重要な要素です。

業務タブを開くと、「M&A関連業務」「バックオフィス支援」等のサービス内容が明示されており、どんな企業に何を提供しているかが分かります。
ユーザーの知りたい情報がしっかり掲載されていて、お問い合わせへの導線も明確です。プロフィールや支援方針も丁寧に記載されているため、「どんな人が対応してくれるのか」が伝わる安心感があります。
青柳さんのコメント
自ら営業を行う際に、必要な情報がすでにホームページに掲載されていることで信頼を得やすくなる点はもちろん、最近ではM&Aを検討し始めた上場企業からお問い合わせをいただき、M&A案件をご一緒させていただくなど、多方面との有意義な業務提携にもつながっています。
こうしたホームページは、独立した会計士にとって、信頼性の向上や、自身が提供できる支援内容を明確に伝える手段となります。
効果を高める+αのWeb活用法
上記の情報発信方法に加えて、いくつかの工夫を取り入れることで、さらに高い効果が期待できます。
よくある失敗パターンと改善のヒント
すぐに成果が出ないからやめてしまう
Webマーケティングは「育てる営業」です。最初の数ヶ月は仕込み期間と考え、反応がなくても継続することが大切です。
実際には、見られていることに気づかないまま、数ヶ月後に問い合わせが来ることも少なくありません。発信内容がバラバラ
ターゲットと専門領域が定まらず、発信内容に一貫性がないと、読者の印象に残りづらくなります。
「この人は〇〇に詳しい」と思ってもらえるよう、テーマは絞りましょう。自己ブランディングしたい領域(届けたい顧客属性向け)や、差別化したい領域に絞って投稿することが有効です。自己紹介が弱い・実績が伝わらない
「誰に、何を提供しているのか」が一文で伝わる自己紹介文を用意しておきましょう。
SNSやホームページの冒頭、プロフィール欄など、目につく場所に配置しておくことが重要です。
売り込まない営業としてのWeb活用
Webマーケティングは、独立会計士にとって「売り込まなくても見つけてもらえる」営業手段です。
特に営業が得意でない方にとって、SNSやブログ・ホームページを通じた発信は、信頼と案件を育てる土台になります。
完璧な発信を目指すより、「伝えること」「続けること」が成功のカギです。あなたの専門性を必要としている人に届くよう、今日から一歩ずつ始めてみましょう。
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