【会計士インタビュー】 IT監査×英語力で独立|大手監査法人出身・公認会計士のキャリア戦略

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「監査の経験を、監査法人の外でどう活かすか」——大手監査法人でビッグジョブとIT監査の両方を経験し、2021年5月に独立した公認会計士の足達正城さん。独立後は非常勤監査法人と外部CFO業務を軸に、IT統制支援やクロスボーダー案件など複数の専門性を掛け合わせたキャリアを築いています。

独立の経緯から会計士.jobの活用実態、そして今後IT監査や英語力を武器にしたいと考える会計士へのアドバイスまで、じっくりお話を伺いました。

足達正城
足達正城 様
新卒で有限責任監査法人トーマツに入社し、大型上場企業の監査を経験する中でIT監査・業務処理統制評価にも携わるようになり、 2021年に独立。会計士としての専門性に加え、IT統制・英語力を掛け合わせた独自の強みを活かし、監査法人・ベンチャー企業の双方から必要とされる働き方を実践している。

1. トーマツでのビッグジョブ経験が、IT×監査のキャリアの原点

――まずはこれまでのキャリアと、独立を決めた経緯について教えてください。
(足達氏)

新卒でトーマツに入社し、比較的早い段階から大型上場企業の監査(ビッグジョブ)にアサインされました。もともとIT・プログラミングに関心があり、エンジニアという選択肢と会計士という選択肢の間で迷いながら、スタッフ時代を過ごしていた感覚があります。

その中でIT監査にも携わる機会があり、資格取得後、しっかり経験を積んだ段階で「監査だけではなく外の世界も見てみたい」という思いが強くなりました。

また、当時は監査の標準化が進み、定型化されたグローバル共通のテンプレートを埋めていくような作業が増えていた時期で、正直なところ、それがしんどいと感じる部分もありました。もう少し監査基準そのものに沿って仕事ができる法人の方が自分には合っているのではないか、という思いも独立を考える一因になっています。

そうしたいくつかの要因が重なっていたタイミングで、中学・高校時代の友人から「起業を手伝ってほしい」と声をかけられたことが、独立を決める直接の後押しになりました。

一つの理由だけで決めたというよりは、いろいろな要素がミックスされて独立に至った、という感覚が近いですね。

――入社当初は監査中心で、そこからIT監査に関わるようになったのでしょうか。
(足達氏)

はい、最初の2年ほどは監査中心で、徐々にIT専門家の補助として監査チームに同行する機会が増えていきました。

ITGC(IT全般統制)やITAC(IT業務処理統制)のヒアリングを担当する中で、もともとLinuxに触れていた経験も活かされ、システムの設定レベルまで踏み込んだIT監査実務にも関与するようになりました。

さらに、J2の頃から海外拠点とのミーティングに参加する機会があり、若手のうちから実践的な英語力を鍛える環境に身を置いていたことも、後のキャリアに大きな影響を与えています。情報処理安全確保支援士試験(旧・情報セキュリティスペシャリスト)は入社1〜2年目という早い時期に合格し、システム監査技術者は独立後に取得しました。

2. 独立初期はどう動く?基盤を確保してから飛び出すスタイル

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――独立初期はどのように活動されていましたか。
(足達氏)

基本的には「出ていく先を決めてから出る」というのが一番大きかったですね。先輩方の話を聞いていても、全部一人でやろうとすると孤立してしんどくなるという話が多かったので、監査というチームで動ける場は絶対に残しておこうと思っていました。

CFO業務もチームワークが求められる仕事ではあるのですが、それに加えて複数の収入源を持つことで、経済的にも安心できる状態を作りました。非常勤監査法人であれば、いろいろな分野のスペシャリストの方と出会えるプラットフォームとしても活用できると考えていたんです。

――そのネットワークはどのように構築されたのでしょうか。
(足達氏)

ビッグジョブだと同じチームで固定化されるので、深く付き合う先輩ができます。そうした先輩が先に独立されていたので、辞める前にいろいろ質問したり、お話を聞いたりしていました。非常勤監査法人やブリッジコンサルティングの情報も、その先輩方からの紹介で知りました。

――独立してから、やっておいてよかったことはありますか。
(足達氏)

CFO業務という未経験の領域を意図的に取り入れたことがすごく良かったです。CFO業務は会社設立から資金調達まで一通り経験させてもらえるので、体系的なフレームワークが身につきました。

監査法人やブリッジコンサルティングでいろいろな話を聞いても、「あそこのところか」という感覚で理解できるようになったのは大きかったです。

――税務については、どのように考えていますか。
(足達氏)

税理士登録もしており、税務のご相談もお受けしています。ただ、広く展開するというよりは、既存のご紹介や信頼関係をベースに、じっくり向き合えるお客様に限定してお付き合いする方針です。

手続き系業務については、ご依頼の規模やご要望に応じて個別に判断させていただいており、ウェブサイトでの公開なども行わず、そうした関係性を軸にお付き合いする形にしています。

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3. 会計士.jobの活用実態——「一本釣り」的な参画とネットワークの両輪

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――会計士.jobはどのように活用されていますか。
(足達氏)

正直にお話しすると、応募ツールとしてはあまり使いこなせていない状態です。過去にプロジェクトをご一緒したマネージャーの方から直接お声がけをいただくケースが多く、いわゆる「一本釣り」的な形での参画が中心になっています。

一方で、案件のカタログとして届くメール配信は、「どのようなジョブがあるのか」を把握する材料としてしっかり活用しています。クライアントのニーズがそのまま案件募集に反映されるので、営業活動における潜在ニーズの掘り起こしにも役立っていますね。

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――他の会計士に勧める際、どのような点が課題になりますか。
(足達氏)

他の人に勧めたときによく聞かれるのは、「どのくらい難しい仕事で、どのくらいの報酬があるのか」という点です。私の場合は自分の経験ベースで話せますが、テキストだけだとその解像度が伝わりにくく、応募前にミスマッチが起きやすいと感じています。

最初の案件では、大阪事務所長の方と1対1で直接お話しできたことが、安心して参画できた大きな理由でした。「表の会計士.job」と「裏の人的ネットワーク」を組み合わせた形が、応募のハードルを下げる鍵になっていると思います。

――今後、注力していきたい領域はありますか。
(足達氏)

主軸はIT統制のところですね。ベンチャー企業でGitHubを活用した開発体制の支援に入り、ある程度満足いただけたと感じています。

最近はセキュリティ分野にも興味が出てきていて、資格も持っているので、統制よりもう少しバリューを発揮しやすい領域として、セキュリティ寄りのアドバイザリーにも関わってみたいと考えています。

4. 独立してから学んだ、守備範囲の広さとキャパシティ管理

――独立したからこそ得られた経験はありますか。
(足達氏)

一番は守備範囲の広さです。監査法人にいた頃もITをやりたいとアピールはしていましたが、若手だったこともあり、なかなか実現できませんでした。独立すると「必要だから」という理由ですぐに使っていただけるようになり、そこはすごく良かったと思っています。

その一方で、必要とされるからこそ働きすぎてしまうという課題もあります。倒れてデリバリーができなくなることが、お客様にとって一番のリスクになるので、自分のキャパシティの中でしっかり調整していく必要性を感じています。

――収入面での不安はありましたか。
(足達氏)

私の場合は、公認会計士試験の合格者から会計士として評価いただく立場に変わるタイミングと独立が重なったので、初期の収入面での不安はあまりありませんでした。

ただ、非常勤会計士を活用した監査の品質面が話題になっていた時期でもあったので、「これを続けられるのか」という不安はありました。だからこそ、ITなど強みのある分野で継続的に役に立てるようにしていきたいと考えていました。

――IT監査の需要は、現場でどのように感じていますか。
(足達氏)

IT監査に対応できる人材は、まだまだ足りていないと感じています。古いシステムを使っている企業から、GitHubを活用してどんどん開発を進める企業まで、幅広い案件に対応できるスケーラビリティを、この数年で確立できたと思っています。

――英語力はキャリアにどのように活きていますか。
(足達氏)

留学経験や専門的な学習経験があるわけではありませんが、「伝わればいい」レベルの実務英語をクロスボーダー案件で活かしています。ブリッジコンサルティング経由で最初に担当した案件も英語案件で、半年間担当者が不在の状況で、キャッチアップ資料をすべて英語で作成した経験もあります。

会計・監査の専門知識と英語力を組み合わせることで、クライアントと監査法人の間に立つ「翻訳機能」としての価値を発揮できると感じています。

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5. IT×セキュリティ×英語を掛け算した「翻訳者」へ

――今後のキャリアの目標を教えてください。
(足達氏)

会計監査だけでなく、バックオフィス、IT、英語、セキュリティなど複数の領域を掛け算できる人間になりたいと思っています。

特にセキュリティ分野は、生成AI導入時のセキュリティ設計など、今後さらにニーズが高まる領域だと見ているので、専門家と企業の間をつなぐ役割としての価値を高めていきたいです。

――将来的に社外役員や社外CFOのような役割も考えていますか。
(足達氏)

はい、最終目標としてはそちら系にも挑戦したいと思っています。特にセキュリティ関連企業の社外役員などは、自身の強みを最も活かしやすい領域だと感じています。

6. 独立を目指す会計士へのアドバイス

――最後に、独立を考えている会計士へアドバイスをお願いします。
(足達氏)

3点お伝えしたいです。

1点目は、会計だけに閉じず、専門性を掛け算することです。IT・英語などの掛け算でキャリアを設計することを意識してみてください。

2点目は、安定した所属先・基盤を最初に確保することです。非常勤監査法人など、安心して挑戦できる「戻れる場所」があることで、無理なくチャレンジができます。

3点目は、キャパシティ管理を忘れないことです。必死になりすぎて過労になると、結果的にクライアントにも迷惑がかかってしまいます。

インタビューを終えて

トーマツでのビッグジョブ経験を土台に、IT・英語・セキュリティという専門性を掛け算しながら独立キャリアを築いてきた足達正城さん。独立後も「基盤を確保したうえで挑戦する」というスタイルを貫き、非常勤監査・CFO業務・IT監査支援など複数の軸で価値を発揮しています。監査法人でのビッグジョブや標準化業務をネガティブにとらえるのではなく、そこで得たIT経験や海外業務経験をキャリアの武器に転換した点は、同じように悩む会計士にとって参考になる事例ではないでしょうか。

会計士.jobでは、こうした専門性を持つ会計士と企業をつなぐ案件を多数掲載しています。IT監査やセキュリティ、クロスボーダー案件に関心のある方は、ぜひ会計士.jobへの登録をご検討ください。

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