会計士・税理士のようなプロフェッショナルサービスは、競合との単純比較は難しいものですが、インターネットの普及で情報取得に係るコストが大幅に下がったため、顧客は価格やサービスメニューをシビアに見ています。ここでは、競争優位性を保つための第一歩として競合調査の具体的な方法を紹介します。

立地における競合

会計事務所・税理士事務所は、基本的に地域密着型のビジネスです。実際、多くの事業者は、頼みたい事務所が近くにあるかを会計士・税理士を探す際のポイントの一つとしています。そこで、同一エリアにおける競合構造を調査する際、まずは競合となりうる事務所の情報収集から始めます。インターネットでの検索のほか、地域の情報誌、日本公認会計士協会の支部や税理士協会の支部などが発行する冊子等も活用できます。

個々の事務所のサービス

事業者が会計士・税理士を探す際の立地以外の主なポイントは、報酬額とサービスメニューの構成(主力商品)です。そこで、同一エリア内の事務所情報を収集したら、自分の事務所が提供するサービスメニューを中心に、サービスごとの報酬額等の情報を整理すると良いでしょう。その際、代表者のバックグランド、業歴、有資格者数、クライアント数、営業時間なども分かる範囲でリスト化しておくと、その後の活動で参考にすることができます。

競合事務所のリストが完成したら、主力商品が重複して特にライバルとなりそうな事務所について、「決算申告」「会社設立」「資金調達」など初回取引となりやすい商材を中心に、価格や売り出し方の点で自社と比較します。独立開業から間もない時期にもかかわらず地域の相場より高い報酬額を設定しているような場合、報酬額や売り出し方の変更ないし主力商品の見直しが必要と言えます。

会計士事務所・税理士事務所は、地域密着型ビジネスのため、同一地域内で他事務所との競争があります。顧客が会計士・税理士を探す際に重視するポイントを踏まえ、競争力のある商品展開や価格設定をすることが、選ばれる事務所作りの鍵となります。